そのころのある日のこと、イエスは弟子たちといっしょに舟に乗り、「さあ、湖の向こう岸へ渡ろう。」と言われた。それで弟子たちは舟を出した。・・・突風が湖に吹き降ろして来たので、弟子たちは水をかぶって危険になった。そこで、彼らは近寄って行ってイエスを起こし、「先生、先生。私たちはおぼれて死にそうです。」と言った。イエスは、起き上がって、風と荒波とをしかりつけられた。すると風も波も治まり、なぎになった。イエスは彼らに、「あなたがたの信仰はどこにあるのです。」と言われた。・・・(ルカ8章22節〜25節)
小沢幹事長の不起訴や朝青龍の突然の引退など、世の中に溢れるニュースを見ていると、よくもそこまで人を責め立てられるものだと、ため息の出る思いです。もし同じ立場になれば、聖人君子ではない私たちもひとたまりもないと思わされますし、ちょっと辛いことがあると、死んでしまいたいと弱音を吐いてしまいます。でも、そんな弱い私たちだからこそイエスが共にいて下さるという事実を思い起こしましょう。
今日開きました物語は、イエスがガリラヤ湖周辺の村々を弟子たちと共に訪れて、福音を語り、病を癒し、人々を悪霊から解放する御業をしておられたときの一コマです。
ある日のこと、イエスの方から弟子たちに声を掛けられて湖の向こう岸へ渡ろうとガリラヤ湖に舟を出しました。しかし途中で突風に遭い、舟が沈みそうになります。弟子たちは慌てふためきますが、その中でも彼らは守られ、助けられたのです。この物語の中で信仰生活の基本中の基本を感謝して受け止めたいと思います。
1.広い視野で全体像を見る
この物語はそもそも、イエスの語られた言葉で始まったことで、弟子たちが勝手に始めたことではありません。イエスと共に歩んでいながら、不都合と思われる事柄が弟子たちの前に確かに起こったのでした。しかし物語は、不都合なまま終わったのではありません。
あなたの生活に、病気や、お金、人間関係などの問題や試練があるとしても、それはクリスチャンとしての人生のほんの一コマであることを忘れてはいけません。狭い視野で、目の前の問題しか見えなくなり、それで人生が決まってしまうような錯覚に陥らないようにしましょう。
私たちの人生は、主が共におられ主に促されて歩んでいるのですから、決して悪いようにはなりません。同じ試練や問題でも、それは物語の一コマであるという大きな視野で見つめていきたいと思います。
2.主キリストが共にいて下さる
舟は確かに危険な状態になり、弟子たちはおぼれると思ったでしょう。でも、イエスはただ寝ておられただけであって、片時も彼らから離れることはなかったのです。
私たちは、弱い人間の姿の延長上でイエスを見てはいけません。今まで人の愛情や助けというものが当てにならないという体験をしたかもわかりませんが、だからと言ってイエスまでが同じだというような錯覚をしてはいけないのです。イエスは片時も弟子たちの側を離れることはありませんでした。この事実を忘れてはなりません。
弟子たちは慌てて、先生、先生、とイエスに呼びかけます。あなたは困ったときに誰の名前を呼びますか。絶体絶命のピンチの時は、信仰心のない人でも「神様!」と叫ぶものです。まして、クリスチャンである私たちは、まことの神である主を呼び求めましょう。主は側におられ、眠っておられるだけですから、私たちが呼び求めるならば、御業を現わして下さいます。
3.信仰の成長を求める
弟子たちが呼び求めると主は起き上がって、風と荒波とをしかりつけられ、たちまち大凪になりました。そして、「あなたがたの信仰はどこにあるのです」と言われました。とにかく命が助かったと弟子たちはほっとしているだけなのに、イエスは信仰を求められたのです。
あなたもどこかで思っていませんか。今問題なのは、お金のこと、健康のこと、家族のこと、仕事のことなんだと。そして信仰のことなどすっかり忘れているかもしれません。でもイエスは、私たちに信仰の成長を求めておられるのです。毎日の現実的な生活の中で、私たちは信仰を持ってそれを働かせるべきなのです。
あなたの歩みの中にはイエスが共にいて下さいます。あなたの人生は、主が共に乗り込んでおられる舟であることを忘れてはいけません。波をかぶって沈みそうになるときもあるでしょう。でも、私たちクリスチャンの人生は変わりません。イエスが共にいて下さるから、必ず守られます。そして私たちは信仰において常に成長していくのです。
イエスに願えば主の御業が現わされるのです。あなたの経済の必要も、健康も、人間関係も、鍵はイエスです。
問題の中でうろたえる前に、イエスに呼び求めましょう。そして、信仰を働かせて、この2月の出来事に向かってまいりましょう。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。