日本人宣教師が協力して行われている聖書翻訳プロジェクトの完成が迫っている。完成が近いのは、パプア・ニューギニアのアタ語とマイワ語の新約聖書。それぞれ日本ウィクリフ聖書翻訳協会から派遣された日本人宣教師が中心となって進められたきた聖書翻訳プロジェクトだ。各言語の翻訳事業は20年以上前に始められたもので、同協会は完成が近い各プロジェクトのために祈りを呼び掛けている。
アタ語は、パプア・ニューギニアのニューブリテン島中部で使用されている言語で、アタ語を話す人は約2千人。アタ語聖書の翻訳は1984年に、橋本一雄・千代子夫妻(日本福音キリスト教会連合前橋キリスト教会)によって始められ、現在は千代子氏と久米のぞみ氏(日本長老教会東久留米泉教会)、タイからの宣教師によって進められている(一雄氏は97年召天)。すでにアタ語の賛美歌(92年)やアタ語・英語辞書(96年)が出版されている。
約1200人が使うマイワ語の聖書翻訳は、パプア・ニューギニアの首都ポートモレスピーの東約130キロにあるビニグニ村(人口約300人)で、中村孝・矢枝子夫妻(日本同盟基督教団国外宣教委員会)によって行われている。翻訳事業は1988年からスタート。途中、孝氏は肝炎を発病し2年間日本で療養するなどしたが、06年までに新約聖書の下訳が終了。現在、訳の最終チェックが行われており、完成が近い。
同協会は、国際的な聖書翻訳団体であるウィクリフ聖書翻訳協会の日本組織。アジアで最初に設立されたウィクリフで、設立以来40年間に60人以上の宣教師・短期奉仕者を派遣している。聖書翻訳のための宣教師派遣のほか、聖書翻訳の体験旅行や国内ではセミナーなども積極的に行っている。