日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(辻子実委員長)は5日、鳩山由紀夫首相が伊勢神宮に参拝しないよう強く求める要請書を同ホームページ上に公開した。これは、同委員会が昨年12月7日付で鳩山首相あてに送付していたもの。自民党の谷垣禎一総裁あてに送付した同趣旨の要請書(12月7日付)も、同日公開した。
要請書は、伊勢神宮について「神社神道の本宗とされる神宮」としたうえで、「首相がここに参拝することは、憲法第20条第3項の、国及びその期間はいかなる宗教的活動もしてはならないという条項に違反することは明らか」と指摘。憲法第99条に首相及び閣僚の憲法尊重、擁護義務が定めてある通り、「憲法第20条第3項の条項を尊重、遵守すること」が首相の義務であり、「(同条項に反する)伊勢神宮参拝を行うべきではありません」と主張している。
さらに、鳩山首相が靖国神社への不参拝をすでに明言していることに触れ、「憲法の政教分離原則上、伊勢神宮参拝も同様の問題点を含んでいます」と念を押している。
鳩山首相と谷垣総裁は4日、相次いで伊勢神宮を参拝した。
ホームページ上で公開された要請書(鳩山首相あて)の全文は以下の通り。
内閣総理大臣 鳩山由紀夫様
鳩山首相が伊勢神宮に参拝しないよう強く要請します。
伊勢神宮は、神社神道の本宗とされる神宮であり、首相がここに参拝することは、憲法第20条第3項の、国及びその期間はいかなる宗教的活動もしてはならないという条項に違反することは明らかです。
さらに憲法第99条は、首相及び閣僚の憲法尊重、擁護義務を定めています。首相は、憲法第20条第3項の条項を尊重、遵守することが義務であり、したがって、同条項に反する伊勢神宮参拝を行うべきではありません。
すでに戦中の日本の侵略を受けたアジア諸国への配慮により鳩山首相は、靖国神社参拝は行わないと明言されており、憲法の政教分離原則上、伊勢神宮参拝も同様の問題点を含んでいます。
ここに改めて、首相が憲法を遵守し、憲法に基づく政治を履行するとともに、伊勢神宮に参拝しないよう要請します。
2009年12月7日
日本キリスト教協議会(NCC)
靖国神社問題委員会
委員長 辻子 実