【CJC=東京】マレーシアのクアラルンプール高裁が、キリスト者も神について「アラー」という呼称を使う憲法上の権利がある、と12月31日判示した。イスラム教徒以外が「アラー」を使用するのを禁止したことを違憲としたもの。
カトリック教会が発行する週刊英字紙『ヘラルド』編集者のローレンス・アンドリュー神父は2007年12月、「アラー」の使用許可を求め裁判を起こした。
イスラム教徒が国民の多数派を占めるマレーシアで、政府は、イスラム教関係以外のメディアがイスラム教の唯一神を示す「アラー」という言葉の使用を禁じていた。その後、制限事項を撤廃するなど出版規制が改定され、アンドリュー編集長は、発行許可更新の際に制限が付けられなかった、として使用したことが問題となった。
アブドラ・モハメド・ジン首相府相は08年1月の会見で、「内閣は昨年、2度にわたり同誌の『アラー』使用禁止を決議しており、この決定は依然、有効だ」と使用停止を求めた。さらに国内治安省(内務省)が2月、「イスラム関係者のみ使用できる表現」とし、禁止を命令した。
政府側は、「アラーという表現を使用する権利の問題は裁判になじまない」と主張したが、ラオ・ビーラン判事は、裁判で争われるべき権利として5月、クアラルンプールで政府側の請求を退け、提訴を認めると判示し、今回の決定となった。