この1年で自分の教会から徒歩10分圏内の住民何人に会ったかで来年の受洗者数が決まると言ったら、うれしい知らせではないだろうか。
地域住民の日曜日の過ごし方は数多くあり、教会は、その中から少なくとも礼拝の時間帯だけでも教会に行くことを選んでもらう必要がある。商業施設、季節行事、学校行事、冠婚葬祭、長期休暇などは教会にとって競合相手だ。
これらの競合相手と比べて、キリスト教会の競争力は全体的に弱い。伝道のために動き回れる人が競合相手の影響をしのぐほどもいる教会はまず無いからだ。ほとんど全ての教会は、地域社会の中で弱者なのだ。
動ける人の少ない教会の伝道活動は局地戦を重視しなければならない。少ない人数でも、地域を限定して伝道をすれば競合相手を上回る影響力が生まれてくる。幸いなことに、教会同士が隣接していたり、道の角を曲がったすぐそこにもあったりというケースは日本でほとんど見られない。少なくとも徒歩10分圏内、可能であれば最も近い別の教会との中間地点ぐらいの圏内は押さえたい。
日本ではかなり大きい部類に入る教会のある牧師は、その地でわずか数人の家庭礼拝から伝道を開始し、いまでは毎週千人以上が集まるほどの集会を持つようになった。開拓当初はほとんど受洗者が与えられず、苦悩と挫折感の日々を過ごした。開拓から数年が経ったある日、「もう、何でもやってみるしかない」と思い立ち、地域の廃品回収を始めた。軽トラックで毎日地域を巡回しては住民に声を掛け、言葉を交わしているうちに、住民が牧師の顔をすっかり覚え、やがてひとり、またひとりと家庭礼拝に導かれていったのだという。
狭い地域の中で多くの力を投入し、他の競合相手と比べて優位に立つ。優位に立ったら、その優位性を保つことが大切だ。そのうえで、同じ方法で別の地域の強化に取り組む。これを積み重ねていく。日本の教会の多くは不動産を所有し、そこを中心に伝道をしているのだから、ごく近い地域に集中的に取り組むところから全てが始まるのだ。