医療保険制度改革、富裕層の高額所得をめぐる税制改革に追われる米政府だが、経済危機、雇用情勢の悪化など取り残された課題も目立つ。著書「人生を導く5つの目的」(邦題)で世界的に著名な米国の牧師、リック・ウォレン氏(サドルバック教会、カリフォルニア州)が13日、米NBCテレビの番組に出演し、政府は国内の失業対策、世界の孤児問題に優先的に取り組む必要があるとの考えを示した。
もし政治家として神に召されていたとしたら、世界と米国で最優先とされるべき課題は何だと思うか。
ウォレン氏はこの日、番組内のインタビューで、長期的な国際問題、同性愛、人工中絶、イスラム教など多様な話題について、自分が牧師であることを強調したうえで持論を述べ、「国内では医療改革よりも失業者の再就職支援が優先されるべきだ」と語った。国民が職を得ないことには、それ以外の問題に着手するだけの力が得られないとの考えだ。米国では失業率が10%超まで上昇し、経済の本格回復への見通しは立っていない。
最も優先されるべき国際問題としては、世界に1億4,600人存在するとされる孤児の保護と生活支援を挙げた。生命の保護は支持を得やすいと述べ、国際競争力に陰りが表れている米政府に行動を求めた。
また、人工妊娠中絶を禁止する生命保護にとどまらず、義務教育、貧困、健康など人間の生涯にかかるあらゆる要素を総合的に向上させる取り組みが米国に求められているとの考えを示した。
聞き手からオバマ大統領の評価を求められたウォレン氏は、具体的な評価を避け、現政権が歴代のどの大統領よりも多くの課題を抱えた状態で発足したと述べるにとどめた。