米国プロテスタント系キリスト教の最大教派、南部バプテスト連盟の牧師のうち67%が牧師職に精神的疲労を感じていることが、15日までに公開された米キリスト教調査機関、ライフウェイリサーチ(以下、ライフウェイ)の報告書でわかった。大勢の人を指導する精神的圧力、教会運営上の優先事項と対人関係の両立、聖書の教えに基づいた教育やカウンセリングなど、担当職務は多岐にわたる。どう指導者の重圧と個人的限界のバランスを見極めるかが課題になりそうだ。
ライフウェイが昨年インターネット上で実施した牧師を対象とする調査で明らかになったもの。回答した牧師約900人のうち67%が「精神的疲労を感じることがある」または「大いに精神的疲労を感じる」と答えた。設問「日ごろ精神的疲労を感じるか」に対する同意のレベルを「全く感じない」「ほとんど感じない」を含む4段階で調査した。「大いに精神的疲労を感じる」と訴えた牧師は23%に上った。
牧師の年齢層や担当する教会の規模と、精神的疲労の度合いに顕著な相関関係はなかった。60歳以上の年齢層でやや疲労の度合いが低いものの、依然として48%が多少の精神的疲労を訴えている。
エド・ステサー・ライフウェイ代表は、新約聖書で使徒パウロが教会指導者らに激励の言葉を数多く投げかけていることから、「教会指導者が精神的疲労や孤独を感じやすい傾向は決して新しい問題ではない」と説明する。
ライフウェイは今後、アンケート回答者に対してヒアリングを実施し、牧師が抱える悩みの解決手段、目標設定と祈りの支援をコミュニケーションを通じて展開する。まずは、経験豊富な牧師を中心に各地域でネットワークを形成し、的確な助言と相互支援を提供できる体制を確立したい考えだ。
3種類のネットワークのうち、ひとつは開拓伝道中の牧師向け、ひとつは安定から拡大へと発展したい牧師向け、もうひとつはリーダーシップの実践訓練を受けたい牧師向けになる予定。牧師は教会から離れることが困難なため、主要な各都市を中心にネットワークを形成する。ひとりが支援を求めたときに複数の牧師が一緒に取り組むことにより、一極集中で効果的な地域伝道が可能となる体制だ。