世界的に広く使用されている英訳聖書「NIV(=New International Version)」の翻訳スポンサーで頒布を行っている「ビブリカ(Biblica)」は4日、設立200周年を迎えた。米ニューヨークで200年前、数人の有志が集まって始まった小さな聖書協会は、いまや世界で最も普及している英訳聖書の翻訳に携わる団体にまで成長した。これまでに頒布した聖書は実に6億5千部を超え、関係者らは、新たな100年に向けて聖書の翻訳と頒布という最も重要な使命に熱い思いを寄せた。
07年まで国際聖書協会(IBS)の名称で活動してきたビブリカは同年、英国の聖書出版団体「センド・ザ・ライ(STL=Send the Light)」と合併し、「IBS‐STL」に改称。新たな100年においても聖書に重点を置く団体であるということを名称に反映させようと今年、団体名を「ビブリカ」とした。
米ビブリカのダグ・ロッカート会長は、「我々は、神が主の救いのメッセージを世界に伝えるために、200年間にわたって聖書頒布の活動を導かれてきたことを深く感謝している」と述べ、「一握りのキリスト者らによって建てられた小さな聖書協会が、このように勢い得、200年もの間その使命に忠実であり続けられたことは驚くべきことだ」と、2世紀にわたる歴史を振り返った。
1809年12月4日、米ニューヨークのマンハッタンで、キリスト教に根ざした国家の誕生を夢見たキリスト者有志数人が集まり、ニューヨーク聖書協会(1983年に国際聖書協会=IBSに改称)が設立された。聖書を手に入れるのが困難な人々に聖書を届けるという活動から始めたが、現在その対象は、世界のあらゆる国々のあらゆる人々にまで広がっている。
ビブリカ国際会長兼CEOのキース・ダンビー氏は、「神の御言葉を分かち合う方法は、技術進歩や世界的なニーズによって変わっていくが、我々の使命は変わらない」と強調。「神の恵みによって我々は、神と人々に仕える新たな100年を始め、神の御言葉を通して人々の生に変化をもたらすという、この偉大な遺産に預かり続けようとしている」と、聖書頒布事業への熱い思いを語った。
現在、ビブリカは聖書翻訳事業を27言語で行っており、他の宣教団体などと協力して、出版やインターネット、音声、動画、デジタルメディアなど様々な方法を通して、聖書を世界の人々に届けている。また、キリスト教主義の教育や訓練が正式に認められていない国々では、教育資材や聖書に基づいた研修プログラムを提供するなどして、現地指導者の育成も行っている。
1978年に発行されたNIVは今年9月、全世界の英語使用者を意識した新たな訳が求められているとして、2011年の改訂版発行が決まった。改訂版の翻訳は、NIVの翻訳を行った聖書翻訳委員会(CBT)が行い、ビブリカは翻訳スポンサーとなり版権を所有、NIVの発行元であるゾンダーバン社が改訂版でも発行元となる。