米クリスチャンポストによると、ここ数週間でミャンマーカレン州北西部で生じたミャンマー軍部による攻撃で1万1千人以上のミャンマー民間人が強制移動・虐殺されたという。
キリスト教人権活動団体クリスチャン・ソリダリティ・ワールドワイド(CSW)の26日付けの報告書よると家屋や穀物庫が焼き払われ、村民が帰ってくるのを防ぐため地雷が埋められたという。さらに数名の死者の遺体も発見されその中の数体は手足が切断されているものや、中年の男性で断首されているものが見られたという。
救済チームミャンマー解放軍(FBR)はミャンマー軍部が逃げ惑う民間人らを彼らの居住する村で3月27日襲撃した様子について、「ミャンマー軍部によるカレン州北西部全域にわたる攻撃を避けて人々は逃亡しました。彼らは、逃亡する先でミャンマー軍部が待機しているのを知りませんでした。ミャンマー軍部の攻撃範囲はとても広範囲に及びます」と4月19日付けのFBR報告書で述べていたという。
少なくとも11人の民間人が銃殺された。ある生存者は「ミャンマー軍部は村民を殺すためにあらかじめ村民が逃亡すると考えられる地域に待機していました。彼らは村民が10メートルくらいの距離まで近づくのを待ち、母親を背負って逃亡中の男性を狙って銃を放ちました。彼の背後についてきた家族や子供たちにも同様に銃を放ちました。どういう人が、どういうシステムによってこのようなことができるのでしょうか?」と憤りを露わに述べた。
ミャンマーは1962年以来軍事独裁政権下にある。現在の国家平和発展協議会(SPDC)として知られるミャンマー軍事政権はひどく人権濫用しており、とくにミャンマーの少数民族に対する人権濫用が甚だしいという(CSW)。
1996年以来百万人以上の人々が強制移住され、2500以上の村が破壊された。体系的に行われる強姦、強制労働、子ども兵士の徴兵、危険を伴う地雷除去作業への強制労働、拷問、虐殺などの報告が定期的になされているという。
FBRは強制移動された民間人への一刻も早い食料、医療の供給が必要不可欠であると述べている。FBRはまた被害地域の状況は今現在1997年の軍事攻撃以来最悪の状態になっていると見なしているという。
CSWの最高責任者マービン・トーマス氏は、「カレン州における状況は明らかに人道の危機といえる状況にまで廃退しています。ミャンマー軍部は無実の民間人を捕まえたり、銃殺したりする結果、数千人もの人が強制移動せざるを得なくなっているのです。国際共同体はこのような状況に直面して安穏としている場合ではありません。国連安全保障理事会はこのミャンマーでの危機的状況を緊急に報じなければなりません。そして国連の権力を用いてミャンマー軍事政権と国連、少数部族の三者交渉を通して民主的解決を図り、虐殺を食い止めなければなりません。国際共同体はこの被害地域でミャンマー軍部の攻撃によって被害に遭遇した人々のために人道支援をすぐにでも施す方法を見つけなければなりません。今までのところ、主要援助団体からの支援がこれらの人々に行き届いたと言う報告はどの世界メディアからもなされておりません」と事態の緊急性を訴えた。