【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世が招集した第2回『アフリカのための特別シノドス』(代表司教会議)は10月24日に最終提案書を採択し、25日、教皇司式のミサによって閉会した。シノドスでは『和解・正義・平和に奉仕するアフリカの教会“あなたがたは地の塩…世の光である(マタイ5・13〜14)”』をテーマに、4日から、全体会議や分科会を通して発表や討議を行った。23日には、シノドス参加司教からの全教会へのメッセージとして『神の民へのメッセージ』を発表している。
最終提案書は教皇に提出され、通常公表されないが、教皇は今回内容の公表を許可した。
バチカン放送(日本語電子版)によると、57項目からなる提案は第一に、「教会的交わり」の大切さを強調。第1回アフリカ特別シノドスが「復活と希望のシノドス」であったのに対し、今回のシノドスを「新たな聖霊降臨のシノドス」と位置づけながら、教会という神の家族において協力し合い、使徒的貢献を通して、アフリカの和解と正義と平和、全人類のために働き、アフリカを苦しめている諸問題が繰り返されることのないように努力したいとしている。
次に「和解」「正義」「平和」を、アフリカの発展に欠かせない要素として示している。
さらに、シノドスは、水や土地をはじめ、環境や天然資源を保護し、搾取から守ることを訴えている他、武器取引、共通善のための責任ある政治、収賄との戦い、公正な選挙、移民・難民問題、民族間の尊重などのテーマにも言及している。
司牧上の推進事項として、司教たちは第一に教会のアイデンティティーである「福音宣教」を挙げ、生活の中で行いと言葉を通して福音の価値を人々に証しすることで、アフリカの教会が「地の塩」「世の光」として「和解」「正義」「平和」に奉仕していくことを願っている。
さらに、提案書は、聖体の秘跡と赦しの秘跡、み言葉の持つ力の重要性に触れると共に、アフリカの女性が家庭と社会の中で果たす大切な役割とその権利の保護、青少年教育に留意し、若者や子供たちを搾取や暴力・麻薬から守る必要、障害者への支援、エイズやマラリアとの闘い、麻薬とアルコール問題、受刑者への関心、死刑制度の廃止、人間育成と福音宣教に役立つメディアの使用などを課題として示している。
バチカン放送によると、23日発表された『神の民へのメッセージ』は7部分42章から成り立っている。
メッセージに含まれる多くのアピールには、司祭の独身性・貞潔・物質的財産から離脱、「神の外交官」としての信徒の役割、信徒の恒久的育成、学校教育の重要性などのテーマが取り上げられている。また政界に向けたアピールもあり、収賄と闘い、共通善のために働く聖なる政治家をアフリカは必要としていると、強調している。さらに、カトリックの家庭に対し、近代的な風潮が家庭を破壊することがないよう、また貧困と闘うよう政府に働きかけていかなければならないと述べている。
家庭と関連して、シノドス参加司教たちは、カトリックの男性と女性の役割を確認し、特に男性の夫・父親としての責任ある役割を強調。命を受胎の瞬間から擁護し、子どもの教育に留意するよう呼びかけている。
メッセージは国際社会に対して、アフリカを尊重と尊厳をもって見守り、経済システムや債務問題を見直し、同大陸の自然と資源を破壊、搾取することがないよう訴えている。
司教たちはエイズ問題や、諸宗教間の対話、信仰の自由、民族間の和解、移民の受け入れなどの重要問題にも言及している。