日本のホーリネス系教会における「きよめの危機」をテーマにしたシンポジウムが20日、第24回関東聖化大会(関東聖化交友会主催、日本聖化協力会後援)最終日のプログラムとして開かれた。会場のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会(東京都新宿区)には、ホーリネス系教会の教職や信徒ら約140人が集まり、きよめの危機を訴える教職の話に真剣に耳を傾けていた。グループディスカッションでは参加者全員がテーマ別のグループに分かれ、提起された課題について活発な意見交換を行った。
この大会は、聖書的な聖化の信仰を確認し、その立場を同じくするキリスト者たちがともに交わり、信仰を養う聖会として1986年から毎年開かれているもの。日本聖化協力会の働きは現在、関東聖化交友会をはじめ、北海道から九州まで全国10地区に広がり、それぞれの交友会・大会が独自に発展を遂げている。イムマヌエル綜合伝道団やウェスレアンホーリネス教団、日本基督教団ホーリネスの群など、13の教団・諸団体が加盟している。
はじめにホーリネス系教会に属する3人の若手牧師が問題提起として講演。それぞれ、▼きよめの獲得の危機、▼きよめの成熟に至らぬ危機、▼きよめの宣教の危機を主題に、きよめに関する様々な課題を提示した。
野尻道人氏(東京フリー・メソジスト教団小金井教会)は、きよめが獲得できない理由について、(1)「きよめ」という言葉の問題、(2)理想と現実とのギャップ、(3)きよめをいま獲得することへの躊躇(ちゅうちょ)、(4)信徒をきよめまで導く意識の足りなさ―の4点を挙げた。「一つではなくいくつかの要因が重なり合って、きよめの獲得に至っていないのではないか」と問いかけた。
飯塚弘道氏(日本イエスキリスト教団東京若枝教会)は、きよめの成長を阻んでいるものについて、▼聖書的きよめの事実に対する無知と誤解、▼献身の不徹底、▼不完全な信仰を挙げた。
岡信男氏(インマヌエル綜合伝道団武蔵村山田園キリスト教会)は、きよめを伝えることの課題として、▼学び続ける(伝え続ける)という継続性、▼伝え方に対する再検討、▼きよめに対する意識向上の必要性などを挙げた。また、きよめを単なる教理ではなく人格を通して伝える必要性がある、と指摘した。
これらの問題提起を受けて登壇した矢木良雄氏(イムマヌエル綜合伝道団桂町キリスト教会)は、きよめを伝えることの危険性について、(1)傲慢さをもたらすこと、(2)自らの過ちを免責する口実に悪用すること、(3)裁きの精神の温床となること、(4)本来複雑な問題として扱うべき信仰の問題をあまりにも単純化してしまう傾向のあることを指摘。また、きよめとは本来パターン化して教えるものではなく、伝える側には、その恵みをともに共有しようとする姿勢が常に必要であることを強調した。
続いて登壇した錦織寛氏(日本ホーリネス教団東京中央教会)は、きよめを伝えるという観点から、きよめのメッセージが聖書を土台としたものである以上、ある特定の教会グループに限定されるものではないことを指摘。聖書を土台とした、より丁寧な対話を心がけ、次の世代、また教団教派を越えたさまざまな教会との共通理解を図る必要を訴えた。
また、「聖化が本当に魅力あるものとして伝えられなければならない」と語り、キリスト者が常に神への畏れを失わずに、実生活の中できよめを証しする必要性を強調。神の御言葉に常に生かされる歩みをするときにこそ人からの証しを受けるのであり、そのような神の器がいまの時代に必要だと訴えた。
参加者からは、きよめの成熟について、「大切なことは感情に流されないこと」「すでに得たとは思わず、たえずきよめを求め続ける歩みが重要」といった意見や、きよめを伝えることについては、説明を求められたときに具体的な御言葉を提示する準備が常に必要ではないか、といった意見があった。