本書は、混迷する中東を豊富な資料と知性的クリスチャンの視点から切り裂いたクリスチャン必須の研究解説書である。本書の中東研究は、イスラム原理主義のみならず、中東諸国の歴史、文化、宗教、政治からイスラム教、ユダヤ教、キリスト教の歴史的考察、更には日本の原理主義まで広範囲にわたっており、日本のクリスチャンが持つべき普遍的な指標を提示している。
民主化の転換点に立つ中東アラブ諸国とイデオロギー化する宗教の衝突、キリスト教原理主義とイスラム原理主義の比較、イデオロギーとしてのイスラムの問題点の根本を突く一級の研究書となっている。
特に、韓国人牧師という独自の立場から見えてくる日本の盲点を鋭く指摘。イスラム原理主義の教訓から、神道を軸に発展した国粋的な原理主義運動を分析、日本的多神論宗教に潜む危険性に迫る。
「中東の現実は転換点に来ている。民主化に進むという楽観も悲観もできない。中東は内的にも外的にも変化の圧力を受けている。イスラムという宗教とイデオロギーがこの変化の要求にどのように対応するかが中東の未来の鍵だ。」
「今は「愛国的世界主義」を言う時代だ。モンゴル大帝国のジンギスカンが一時世界を支配した。しかし彼の信じた「長生神」は地方神に過ぎなかった。結局モンゴルは長続きすることができなかった。天皇制廃止を主張する日本のクリスチャンたちは真正な愛国者だと思う。これが日本の平和(pax Japonica)の時代を開く重要な鍵だと思う。」
(本文より)
第一章 序論
第二章 中東と極東三国
第三章 中東研究の歴史
第四章 中東とアラブ
第五章 中東諸国家と政治
第六章 中東の文化と社会
第七章 中東の宗教
第八章 中東のキリスト教
第九章 イスラムの挑戦
第十章 キリスト教原理主義、イスラム原理主義、日本原理主義