24日から米ピッツバーグで行われる20カ国・地域(G20)首脳会議(ピッツバーグ・サミット)に先駆け、G20信仰指導者サミットが22日と23日、「世界にパンを(Bread for the World)」その他宗教団体の提携により開催された。信仰指導者サミットでは、キリスト教プロテスタント、カトリック、ユダヤ教、イスラム教など30以上の宗教団体指導者らが集い、ピッツバーグ・サミットにおいて世界の貧困問題解決により焦点を当て、具体的な解決策を模索することを促した。宗教指導者らは、ピッツバーグ・サミットにおける貧困問題対策の位置づけが他の主要課題よりも低く置かれていることを指摘し、各国首脳に対し、「モラル・クライシス」を訴えることが責務であると考えている。
全米バプテスト会議(NBCA)元代表のウィリアム・J・ショー博士は、「宗教者として、世界の創造者であられる神は創造されたすべての生き物が神の恵みを受けるべきであると考えておられること、その願いを達成させることが人間の存在意義の核心であると信じている。我々はサミットには参加できないが、サミットで取り扱われる主要議題について影響を与えることができればと思っている」と述べている。
「世界にパンを」代表を務めるデイヴィッド・ベックマン牧師は、「世界の政策指導者たちに対し、飢餓と貧困対策が特に重要な課題であることを私たちがひとつとなって訴えたい」と述べている。ベックマン牧師は世界銀行に15年間勤務しており、貧困削減対策についてのプロジェクトを監督していた。
全米福音協会(NAE)の政治対策責任者として新たに任命されたガレン・キャレー氏も、ピッツバーグ・サミットに参加する各国指導者らが貧困と飢餓に苦しむ人たちの必要を満たすための具体的なイニシアチブを取るよう、促すことを呼び掛けた。過去のサミットを振り返っても、福音主義指導者らによって、サミットで述べられた美辞麗句が行動を伴わないものであることがたびたび指摘されてきた。キャレー氏は、サミットで新たな美辞麗句を発表するよりも、既存の政策を見直し、新たな政策としてそれらの政策を再編成してしっかりとブランドづけしてほしいと呼び掛けた。
24日からのG20サミットでは、世界でもっとも影響力のある政治指導者らが結集する。同サミットのトップ課題となったのは世界経済の再構築である。貧困・飢餓の削減についても、新たなイニシアチブの詳細を取り上げることが予定されている。
プレスビタリアン・ニュース・サービスによると、プレスビタリアン・ハンガー・プログラムのルツ・ファレル氏は、「10億人の貧困に苦しんでいる人々が十分な食事ができるようになれば、私たちは経済回復を本当の意味で喜ぶことができます。本当に良い知らせとは、私たちの住む地球が十分な食料を生産することができることです」と述べている。国連食糧計画によると、現在貧困に苦しむ人々の数は10億人を超えており、歴史的にみても過去最高水準となっている。