英BBC放送などによると、北アイルランドの中心都市ベルファストの南部で16日夜、同地区に住むルーマニア系住民に対する人種憎悪と見られる排斥運動が相次ぎ、ルーマニア人家族約100人が自宅を捨てて教会へ逃げ込む事態が発生した。
避難したのは5歳の子どもを含む20家族。同地域では3月末にベルファストで2010年開催のワールドカップ(南アフリカ開催)の予選が開催された頃から、人種憎悪とみられる犯罪が激増。15日には人種差別に反対するデモが行われたが、若者の集団がビンを投げつける事件が発生していた。
米CNN放送によれば、被害を受けているのは「ジプシー」などと呼ばれて差別されてきたロマ人が多いという。また、ポーランドやポルトガル系の移民にも被害が及んでいるという。
教会の牧師によれば、自宅に石が投げつけられ、窓ガラスが割られる被害が出ているという。人種憎悪を助長するパンフレットが投げ込まれるなどの嫌がらせが多発しており、ゴードン・ブラウン英首相は16日、相次ぐ襲撃を非難し、北アイルランド当局に移民保護のために必要な処置を取るように指示を出した。