国家がキリスト教会を弾圧した1942年の「昭和の弾圧」事件から、まもなく67年を迎える。事件を風化させず、その迫害に耐えた信仰者たちに学ぼうと、今年で18回目となるホーリネス弾圧記念聖会が21日、東京新宿区のウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会で開かれる。ウェスレアン・ホーリネス教団、基督兄弟団、日本ホーリネス教団が共催、基督聖協団、日本福音教会連合有志教会が協賛する。
太平洋戦争が始まって約半年後の1942年(昭和17年)6月26日、当時の日本基督教団第6部・9部に所属していた全国のホーリネス系教会の牧師ら100人あまりが、治安維持法違反の容疑で一斉検挙された。そのうち6人が獄死、1人が釈放後まもなく死亡。翌1943年4月には、治安維持法違反により約350の教会が解散に追い込まれた。
同年獄死した菅野鋭・横浜教会(現・日本ホーリネス教団横浜教会)牧師は、「天皇は罪人なのか」との係官の質問に、「天皇が人間であられる限り、罪人であることを免れません」と答えていたことが当時の尋問調書に記録されている。
聖会は、弾圧50年の1992年から関係諸教会の有志によって始まった。弾圧の歴史的事実を風化させないために可能な限りの証言を聞くこと、また弾圧をできるだけ客観的に検証し、キリスト教の歴史上に起こった迫害、弾圧などに目を向けつつ、今を生きる信仰を相互に培うこと、さらに終末に耐えうる教会形成と福音宣教に資すること、などを主な目的として、ホーリネス系諸教団が毎年合同で開催している。
今年のテーマは、「殉教を支えたキリストのいのち」。午後3時の講演会では、日本カトリック司教協議会エキュメニズム部門・列聖列福特別委員会秘書の平林冬樹司祭が講演。午後6時の聖会では、大戦中に弾圧を受けた高橋俊三・深川木場教会牧師の子女、高橋愛子氏(東京中央教会信徒)が立証、基督兄弟団幹事、関東教区長の池原三善牧師(境教会)が説教する。
入場無料。講演会終了後午後5時からの愛餐会は会費500円。