聖トマス大学(旧英知大学、兵庫県尼崎市)は6日、大学院を含め来年度から学生の募集を停止すると発表した。在籍する学生が卒業する2013年3月までは運営を続けるが、合併・譲渡先などが見つからない場合は、閉校する可能性もあるという。
同大では同日、保護者説明会が開かれ、小田武彦学長らが募集停止について説明。少子化の加速から入学志願者が近年急激に減り、これ以上経営を続けるのは困難だと判断した経緯を説明。「学生の教育を維持するために全力を注いできたが、力が及ばなかった。申し訳ない」(共同)と謝罪した。
近畿では唯一の男女共学のカトリック系大学である同大は1962年、英知短期大学宗教科を創設して始まった。翌63年には英知大学神学部、64年には文学部を開設。96年には大学院人文科学研究科を新設し、07年には聖トマス・アクィナス大学国際協議会に加盟し、名称を「英知大学」から現在の「聖トマス大学」に変更した。
また、今年4月からは、事故や病気などで愛する人を失った遺族らへの心のケア(グリーフケア)に関する国内初の研究機関として「日本グリーフケア研究所」を設立していたが、最近の不況の影響も強く、今回の決定となってしまった。大学関係者によれば今年3月時点で約20億円の累積赤字があるという。
他大学などとの合併については、申し出があれば可能性はあるとしており、日本グリーフケア研究所については、優先的に受け入れ法人を探し、継続できるよう可能な限り方法を探していくとしている。