【CJC=東京】バラク・オバマ米大統領は5月27日、駐バチカン大使にキューバ出身の解放の神学者ミゲル・H・ディアズ氏(45)を起用する、と発表した。ハバナ生まれ、ミネソタ州カレッジビルの聖ヨハネ大学と聖ベネディクト大学准教授。イタリア語、スペイン語、フランス語に堪能という。神学校協会の認可基準検討タスクフォースにも任命されている。神学者カール・ラーナーの研究で知られ、著書は『人間であること=ヒスパニック系のそしてラーナー派の展望』(オービスブック、2001年)など多数。
ディアズ氏は大統領選挙に際しオバマ氏に1000ドル(約10万円)を献金するなどオバマ支持は明確。ディアズ氏の選定は、オバマ政策を無条件に支持したカトリック者に対する最初の見返りと見られている。ディアズ氏自身は「神学についての助言者として招かれたことに答えた」としているものの、民主党の活動家アレクシア・ケリー氏がオバマ支持のために組織したグループ『コモン・グッドのために連帯するカトリック者』のメンバー。
カトリック系CNA通信は、ディアズ氏が「わが国と聖座(バチカン)との間の外交的な懸け橋になりたい。上院で承認されれば、前任者の働きを引き継ぎ、聖座との間の25年にわたる優良な関係を維持する」と語った。
ディアズ氏の主要な関心は「インクルーシビティ」(包括性)にあるところから、カトリック左派の支持があり、今回の指名に際しても、『カトリック・ユナイテッド』などオバマ支持のカトリック者が即座に歓迎の意向を表明している。「あらゆる段階での生命の守り手」とされ、妊娠中絶を強く支持するカスリーン・セベリウスの厚生長官指名を支持する声明に署名している。