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天に思いをはせて

天に思いをはせて(5)シフォンケーキを焼いた日 星野ひかり

2026年4月30日20時14分 コラムニスト : 星野ひかり
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天に思いをはせて(5)シフォンケーキを焼いた日 星野ひかり+

お菓子を焼く女性になんてなれやしない。そんなことをずっと思っていた私でした。なにせひねくれた時代を過ごしてきた私です。

ガーデニングやお菓子作り、そんな女性には一生なれないと思っていた若かりし頃でした。そこには、やりきれないねたみや羨望(せんぼう)があったでしょう。

しかし、先日キッシュを作った際に余ったパイシートを使って、初めてアップルパイを焼くという気まぐれを起こしたのです。リンゴを焦がしそうにはなりましたが、思っていたよりも簡単なものでした。そして、焼きたてのアップルパイはとろけるように甘くおいしいもので、義父母にも食べてもらい、喜んでいただけたのです。

それを機に、何度かアップルパイを作り、自信がついたのか、シフォンケーキにも挑戦しようと、道具をそろえて焼いてみました。アールグレイのシフォンケーキです。

そういえば、以前の連載に「食卓」という題で、シフォンケーキを焼く女性になることが夢だと書いていたことを思い出しました。それが当時イメージしていた祝福されたクリスチャン女性像であったと。しかし実際やってみるとイメージとは程遠く、洗い物は積み上がり、せわしなく、大変な時間でした。

少ししぼんでしまいましたが、それでも初めて焼いたシフォンケーキを家族に喜んで食べてもらい、夫に至っては唇に生クリームをつけながら何皿も平らげてくれました。間もなく来る夫の誕生日にはホールケーキを焼いてあげたくなりました。

最近は、家事の合間にレース編みを始めています。編むことは楽しく、時間を忘れてしまいます。夫のいない時間の寂しさも紛れています。

私の年代の人は働いている人も多く、日中は猫以外の話し相手もおりません。私も結婚までは働いておりましたが、今、ありあまる時間を過ごしています。編み物やケーキ……まるで自分らしくないと、髪を金髪に染めて派手なパーマでも当てたくなる時もあります。

すみれも終わりに近づいて、庭の花も植え替え時。しかし、罪に満ちたる世界にあって、戦争、暴力は絶えず、目も当てられない現状が広がっています。日本にあっても、貧しさや暴力、過酷な労働や治りがたい病で苦しんでいる人が大勢います。私もまだ戦争は知りませんが、いろいろな苦しみは通ってきました。

私の人生にはいつも痛みがありました。しかしつかの間かもしれませんが、今、痛みの少ない生活が続いています。夫の病も順調に回復しておりますし、皆優しく私を大切にしてくれます。

風が吹きます。カモミール畑の中にかわいらしいひなげしが揺れています。空を見上げると美しい雲が空を彩り、「神の見えない性質、すなわち、神の永遠の力と神性とは天地創造このかた、被造物において知られていて、明らかに認められるからである。したがって、彼らには弁解の余地がない」(ローマ1:20)の御言葉が響きます。神様は今も、信者にも未信者にも明らかにその神性をあらわにされておられます。

そして十字架。神ご自身が私たちの罪のために十字架において贖(あがな)いの死を遂げられました。

「あなたは涙のパンを彼らに食わせ、多くの涙を彼らに飲ませられました」(詩編80:5)。涙のパンをかじる日も多くありました。

また試練は来るでしょう。その時は叫ぶでしょう、「なぜですか」と。しかし主は、より大きな祝福を後の日に携えていてくださるのかもしれません。その最終形が御国への召天であることでしょう。光あふれる日まで続くこの地上での人生を一歩一歩……。

(絵・文 星野ひかり)

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◇

星野ひかり

星野ひかり

(ほしの・ひかり)

千葉県在住。2013年、友人の導きで信仰を持つ。18年4月1日イースターにバプテスマを受け、バプテスト教会に通っている。同年より、クリスチャントゥデイで連載を始める。これまでの掲載作品は、「のりぼと神様」(18年)、「はっつぁんとかおる姫」(同年)、「背徳の街のマリヤ」(19年)、「み使いダニエル」(20〜21年)、「さくら時計」(21〜22年)、「すみれ時計」(22年)、「小菊時計」(同年)、「夜明け前」(22〜23年)、「花嫁」(24〜25年)。

■ 星野ひかりフェイスブックページ
■「花嫁(9)白百合の願い」で取り上げた星野ひかりの石鹸はこちら

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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