グローリーは呪術医の家系に生まれた。13歳になったとき、彼女は村で認められた呪術医である祖母の元で訓練を受けて仕えるために、住み込みで学び始めた。
祖母は死を前にして、自分の力の源をグローリーに引き継がせるため、伝統的な呪術医の衣装を彼女に授けた。この衣装の継承は、グローリーが村の新しい呪術医となったことを周知させ、その権威を象徴していた。
しかし実は、グローリーの人生は暗闇に支配されていた。彼女の超自然的な力を村人たちが恐れる一方で、彼女には盗み癖があり、泥棒としても人々に知られるようになった。彼女が罪に溺れるにつれ、友人たちは「最悪だ、こんな者には神の愛さえも届きゃしない。こんな人間が許されるものか」と言い始めた。グローリーの罪はエスカレートし、彼女は何度も刑務所に入ることになったのだ。
3度目の服役中、グローリーは高血圧で3日間ベッドから動けなくなった。彼女は適切な医療の診察を受けることができないでいた。刑務所で奉仕活動していたクリスチャン女性ジェーニャが到着したとき、他の囚人たちはジェーニャに、緊急に祈りが必要な死にかけている女性がいることを伝えた。
ジェーニャはグローリーの状態が危険であることを見て、彼女の癒やしのために祈った。ジェーニャはその時、「神はあなたを愛していて、あなたの罪を許してくださるわ」と言葉をかけた。グローリーは「そんなの無理だわ」と答えた。そこでジェーニャは、イエスと共に十字架につけられた盗賊の話をした。
「もしイエスが、共に十字架につけられたあの罪人をさえ許して天国を約束したのなら、もちろんあなたの罪だって許されるし、天国の約束も決して変わることはないのよ」。ジェーニャが「グローリー、神に罪を許していただきたいですか。これはあなたの心からの願いですか」と尋ねると、グローリーは「もちろんよ」と答えた。すると2人は共に祈り、グローリーは主を受け入れた。
翌週、ジェーニャが刑務所を訪れたとき、グローリーは喜びに満ちて「見て!私は癒やされたわ!」と目を輝かせて語った。その後、彼女の行動の劇的な変化を見た刑務官らは、彼女の釈放を早めて、早期に出所できるようにしてくれたのだ。
しかし、出所後のグローリーには自分が身を置く信者の共同体がなく、バプテスマも受けておらず、弟子訓練を受けてもいなかった。そのため、彼女は釈放後、再び以前の生活に戻ってしまったのだ。再び舞い戻った罪の生活の中で、グローリーは自分が犯した犯罪の被害者たちに追われる羽目となった。グローリーは逃げる途中に脚の骨を折ってしまい、再度逮捕され、それが4度目の服役となったのだ。
この時、ジェーニャの刑務所ミニストリーでは、「イエスと共に歩む」という5部構成の映画を教え始めていた。ジェーニャの教えを受け、グローリーはその教訓を実践し、彼女の人生はさらに劇的に変わっていった。呪術やスピリチャリティーについての最終レッスンの後、グローリーは自分の房に戻り、祖母から授けられた呪術医の衣装を焼き捨てた。その後、彼女はバプテスマを受け、他の人々に福音を広め、多くの人々を刑務所内で導き、弟子にしていった。
かつてのグローリーを知っていた人々は、その大きな変化に驚き果てた。ある女性は市場でグローリーを見かけ、「おやグローリー、素敵なサンダルじゃないか。いったいどこから盗んできたんだい?」と言ったが、グローリーは「もう盗みはしない。私は神に仕えていて、神が必要なものを与えてくださるからよ」と答えた。
現在、グローリーは福音のために命をささげ、120人のリーダーを弟子訓練している。イエスは言われた。「だから、わたしは『この女の多くの罪は赦(ゆる)されている』と言います。それは彼女がよけい愛したからです。しかし少ししか赦されない者は、少ししか愛しません」(ルカ7:47)
グローリーを奉仕に駆り立てるのは、その多くの罪を赦してくださったキリストの愛だ。これは紛れもなく刑務所伝道の実といえよう。アフリカの活発な伝道とともに、刑務所伝道のためにも祈っていただきたい。
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