富坂キリスト教センター(東京都文京区)編集の『北朝鮮の食糧危機とキリスト教』の出版を記念した講演会が21日、新潟市中央区の「クロスパルにいがた」で開催された。北朝鮮の情勢に詳しい早稲田大学の重村智計教授と、同センターの鈴木正三前総主事が講演し、日本基督教団新潟教会の上島一高牧師の司会でパネルディスカッションが行われた。地元の新潟日報が伝えた。
同紙によれば、重村教授は「米新政権も韓国も対北朝鮮政策が厳しくなった。やがて拉致問題を解決するチャンスが生まれるはずだ」と指摘。一方で最近、北朝鮮が長距離弾道ミサイルの発射準備をしているとされる動きに対しては、北朝鮮には原油がほとんどなく戦争する能力はないと、発射の可能性に疑問を投げかけた。
講演会は、「朝鮮の食料危機に、わたしたちはどう向き合ったのか、そしてこれから―新潟で考える」というテーマで行われ、約60人が参加。パネルディスカッションでは、上島牧師が「食糧難の北朝鮮住民と拉致被害者の双方に配慮し、どちらにも支援活動が十分できなくなっていた」とキリスト教関係者の拉致問題への取り組みが不十分であったことを語り、一方で鈴木前総主事は、人道支援としての北朝鮮への食糧支援が拉致問題解決の一助になると語った。