【CJC=東京】米下院で、連邦通信委員会(FCC)が定めた「公正原則」の復活を目指す動きが出ている。ただバラク・オバマ大統領は消極的だ、とキリスト教専門のANS通信が報じた。
「公正原則」は1949年に採択された。国家的な重要問題については反対の立場の意見も伝えることを放送事業者に義務付けたものだが、ロナルド・レーガン政権下で撤回された。そこで87年以降、一方的な言論を伝える番組が、キリスト教保守派を中心に盛んに放送されるようになった。
『法と正義のためのアメリカ・センター』(ACLJ)は、『公正原則』が復活するようなことになれば、法廷闘争に持ち込むと言う。主任顧問のジェイ・セクロウ氏は「公正原則」は検閲に等しい、と述べている。復活の動きは、政治的なもので、自由主義的な議員が保守派を沈黙させたいという思惑が見え隠れすると言う。
ベン・ラボルト大統領報道官は2月18日、「公正原則」といわれるものを復活させる動きに、大統領は反対している、と語った。「選挙運動中に語ったように、公正原則を復活させるべきだ、とは思っていない」と言う。
復活を提唱する1人、ヘンリー・ワックスマン議員(民主党、カリフォルニア州)は、「公正原則」をインターネットにも適用する考えだ、とも伝えられ、議論が沸騰した。ただこれにはFCCも同議員も即座に否定発言をしている。
宗教放送団体『ナショナル・レリジアス・ブロードキャスターズ』(NRB)のクレイグ・L・パーシャル副会長は「NRBの会員は1400人。そのほとんどがキリスト教のテレビ・ラジオ放送者。公正原則が復活すれば、放送の自由は目茶苦茶になる」と言う。
ただ同氏は、検閲という巨大な動きが、保守的なトークショーの司会者だけでなく、キリスト教放送者やコミュニケーターを狙い撃ちし、「公正原則」どころの問題ではなくなってしまう、と1年以上も前から放送産業に警告して来た。
すでに聖書的、伝統的な世界観に立つ電子コミュニケーションを阻止しようと躍起になっている議員もいる。憲法修正第1条の言論の自由、宗教上の行為の自由、拘束されない報道を固守するため総合的な戦略をNRBは展開する、と言う。