米大手世論調査会社のギャラップ社の最新の調査によると、神や天使、天国、地獄、悪魔といった霊的存在を信じる米国人の割合が、この20年間余りで最低レベルにまで落ち込んでいることが明らかになった。特に、神や天国に対する信仰の落ち込みが大きいという。
ギャラップ社が全米の成人1011人を対象として、5月1日から24日にかけて実施した最新の調査の結果(英語)が7月に発表された。それによると、米国人の過半数は、神や天使、天国、地獄、悪魔といった霊的存在を依然として信じてはいるものの、関心はいずれも薄れているという。
今回の調査によると、回答者の74%が「神を信じる」と答え、69%が「天使を信じる」、67%が「天国を信じる」、59%が「地獄を信じる」、58%が「悪魔を信じる」と答えた。
これに対し、ギャラップ社が霊的存在に関する調査を開始した2001年は、「神を信じる」と回答した人が90%に上り、「天使を信じる」は79%、「天国を信じる」は83%、「地獄を信じる」は71%、「悪魔を信じる」は68%だった。
この20年余りで、神や天国を信じる人の割合は、それぞれ16ポイント減っており、最も急速に減少している。一方、悪魔や天使を信じる人の割合は、それぞれ10ポイントの減少で、神や天国を信じる人と比べると、減少傾向は若干鈍かった。
ギャラップ社の調査顧問であるミーガン・ブレナン氏は、次のように話している。
「この20年間で、『信じる』の割合が低下するにつれ増加したのは主に『信じない』で、『分からない』の増加は非常に小さいものでした。この傾向は、『信じない』と『分からない』がほぼ同じく増加した『神』以外の全てに当てはまる傾向です」
教会に頻繁に通う人や共和党支持者は、これら5つの霊的存在を信じる傾向が強かった。また、プロテスタント信者はカトリック信者よりも、これら5つの霊的存在を信じる傾向が強かった。
宗教的な礼拝にめったに行かない人や全く行かない人であっても、過半数は神(57%)や天使(52%)を信じていた。その一方で、そうした人々の天国(48%)や地獄(41%)、悪魔(40%)に対する信仰は、過半数を下回った。
年収別では、世帯年収が4万ドル(約570万円)以下の人は、世帯年収が10万ドル(約1420万円)以上の人に比べて、これら5つの霊的存在を信じる傾向が強かった。
年齢別では、55歳以上の人がこれら5つの霊的存在を信じる傾向が最も強かった。35~54歳も、過半数がこれら5つの霊的存在全てを信じていた。18~34歳はそれぞれに対する信仰がそれほど強くなかったが、それでも悪魔(49%)を除く、他の全ての霊的存在を過半数が信じていた。
性別では、女性は男性よりも5つの霊的存在を信じる傾向が強かったが、悪魔に対する信仰は男女とも58%だった。