イスラエルで最高の文学賞とされるエルサレム賞の授賞式が15日、エルサレムで行われ、今回の受賞者に選ばれた作家の村上春樹さん(60)が出席した。欧州系言語以外の作家が受賞するのは、今回が始めて。
エルサレム賞は63年から始まり、「社会における個人の自由」をめぐる優れた作品を発表した作家に隔年で贈られる。これまでに、英国のノーベル文学賞受賞者バートランド・ラッセルや米国の劇作家アーサー・ミラーなどの著名な作家が受賞している。
村上さんの受賞をめぐっては、日本でパレスチナ問題に取り組む複数の市民団体などから受賞辞退を求める声が上がっていた。授賞式での記念講演で村上さんは、「小説家は自分の目で見たもの、手で触れたもの以外は信頼できない。私は自分自身の目で現実を見、話をしたいと思った」と授賞式出席の理由を述べた。
また、イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に触れ、人間を壊れやすい卵、体制を壁にたとえて「私は常に卵の側に立つ」と述べ、武力に訴える姿勢を非難した。