ユネスコの世界遺産暫定リストに登録されている「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の旧野首(のくび)教会保全のために、アサヒビール(本社・東京)は12日、同町に310万3250円を寄付した。読売新聞が伝えた。
野首教会は1908年に建てられた煉瓦造教会。設計、施工は長崎県下で数多くの教会を手掛けた鉄川与助による。鉄川にとって初めての煉瓦造教会であるとともに、五島地方の教会堂が木造から瓦礫造りへと変化する時期の貴重な遺構として注目されている。県指定有形文化財。
野首教会のある小値賀(おぢか)町野崎島は、1960年ごろには800人ほどの住民が生活する有人島であったが、高度経済成長の中で過疎化が進み、現在は無人島となっている。信者の集団離島によって教会は一時荒廃したが、同町による修復と整備によって創建時の原型が現在までほぼ完全に保たれている。
アサヒビールでは、昨年12月15日から先月14日までの期間中、県内で販売した対象商品の缶ビール1本につき1円を同町に寄付するキャンペーンを実施。期間中に310万3250本を販売した。
寄付金は、野首教会保全のために設立した基金に積み立てられ、教会近くの宿泊施設の整備費などに充てられるという。