【CJC=東京】世界経済フォーラムの年次総会「ダボス会議」に対抗して反グローバリズムを訴える有識者や非政府組織(NGO)が集う「第9回世界社会フォーラム」が1月27日、ブラジルのベレンで6日間の日程で開幕した。これに合わせ、「解放と神学に関する世界会議」も22日、ベレンで開催された。
ENI通信によると、ブラジルの「解放の神学」者レオナルド・ボフ氏(70)が同会議で基調講演を行った。今回のテーマは「水、地球、神学 =もう一つの可能な世界のために」。同会議は2005年、07年に行われ、今回が3回目。
ボフ氏は「私たちはこのままやってはゆけない。変わらなければならない。問題は私たちが変わろうとする中身で、単により多くの消費、生産、排除、侵略といった問題ではない」と述べた。
ボフ氏は1970年代、解放の神学の主導者として台頭した。解放の神学は社会変革に政治活動が必要という信念と結び付いていた。貧しいものの「新しい教会」の必要を主張した著作が問題となり、バチカンはボフ氏の聖職者義務の履行を差し止めた。翌年、差し止めを解除したものの、92年になって、ボフ氏は「自ら俗人状態に入った」と、聖職者として活動を放棄した。
ボフ氏は現在、リオデジャネイロ首都圏の荒廃した地域ハルディム・アララスで人権活動家マルシア・マリア・モンテイロ・デ・ミランダさんと同居している。
会議が行われたベレン周辺のアマゾン地域の環境破壊を取り上げた著作「地球の叫び声、貧しいものの叫び声」(1997年)でも描写されたように、環境問題が近年、ボフ氏の活動と著作の中心課題となっている。
ソ連の指導者だったミハイル・ゴルバチョフ氏らと共に、ボフ氏は「地球憲章委員会」のメンバーでもある。同委員会は2000年に「正当で持続可能な、そして平和な」地球社会の原則『地球憲章』発表した。