現地時間20日正午(日本時間21日午前2時)から、米国史上初の黒人大統領となるバラク・オバマ米大統領の就任式が行われ、サドルバック教会(カリフォルニア州)のリック・ウォレン牧師が祈祷をささげた。同性愛反対など福音派としての立場を示してきたウォレン牧師に対しては、キリスト教リベラル派からは反発があったが、就任式直前のギャラップ社による世論調査によれば、ウォレン牧師抜擢に対する反対は9%に過ぎなかったことが分かった。
就任式で長年にわたって祈祷をささげてきた福音派大衆伝道者のビリー・グラハム牧師の「後任」として注目を集めたウォレン牧師は、同性愛反対、人工中絶反対など福音派としての立場を明示してきたことから、キリスト教リベラル派からは反発を招いていた。
リベラル系団体の「ピープル・フォー・アメリカン・ウェイ」のキャスリン・コルバート会長は、ウォレン牧師の抜擢に対して「深く失望した」との談話を発表。就任式のような場にこそ「一貫した主流派のアメリカ的価値観」を持った人物が選ばれるべきだった、などとコメントとしていた。また、キリスト教保守派の一部からも、リベラル姿勢のオバマ大統領の就任式で祈祷をささげることに対しては批判があった。
しかし、今回の世論調査によれば反発は一部に過ぎず、全体的にはウォレン牧師の抜擢が受け入れられていたことがわかった。ウォレン牧師は、著書『パーパス・ドリブン・ライフ(人生を導く五つの目的)』で全米売上1500万部を超えるベストセラーを記録し、また貧困やエイズ、地球環境などの様々な問題に対する積極的な取り組みでこれまでも注目を集めていた。しかし今回、大統領就任式の祈祷者として選ばれたことで、米メディアは、ウォレン牧師がグーグルやスターバックスと並ぶ米国文化の象徴となったなどと報道している。