【ユトレヒト(オランダ)=ENI・CJC】「無神論者」宣言を公表して有名になったオランダ・プロテスタント教会(PKN)のクラアス・ヘンドリクセ牧師が、神が存在しているかどうかを教派総会で議論するよう要求している。牧師や一般信者にとってその議論が有益なことだとして、同派のアルジャン・プライジエル総幹事に1月5日に公開書簡を送った。
2007年11月に出版された著書「存在しない神を信じる=無神論牧師の宣言」で、ヘンドリクセ氏は「神」を信じるのに、神の存在を信じることは必要ではない、と主張した。
書簡でヘンドリクセ氏は2006年にオランダのキリスト教放送IKONが実施した調査を想起している。放送に関係していた牧師6人に1人の割合で、神の存在を信じていないか確信を持てていないことが判明したのだ。
プライジエル総幹事が教会誌で、ヘンドリクセ氏の著書に触れ、神信仰の問題を議論したのに応答したもの。プライジエル氏は、オランダでキリスト者として育てられた人の多くが、神の存在を信じるのが難しいとしていることを認めた。「若い時に教えられた神を信じることが難しいのだ。それは天にいる父のイメージ、あなたを個人的に知っており、あなたが友として祈る神なのだ」として同氏は「私たちが皆たとえ自分の疑問についてさえ隠さないものなら、神について語り、彼を信じることの意味を語るため、キリストの名のもとに来たれ」と信者に勧めていた。
ヘンドリクセ氏は、プロテスタント教会が伝統的に自らを幅広い教派と見なしていることを認めるものの「あなたの主張を読むと、PKNでは、現在の信仰告白に同意する人に場があるだけで、無器用な質問をしたり疑いを示すようなことの余地はないように見える」と、プライジエル総幹事へ応答している。
ヘンドリクセ氏は、オランダ南西部ミデルブルフと近郊の村の教会で20年以上にわたって牧師を務めた。
オランダでは2004年にルーテル派と改革派の2派が合同してプロテスタント教会を形成している。ヘンドリクセ氏が牧会した2教会も属している。両教会は自由プロテスタント連合にも所属している。
著書の中でヘンドリクセ氏は、神が存在していないという信念がどのようにして強くなったかを述べている。「神の不存在は私にとって障害ではなく、神を信じることへの前提条件だ。私は無神論者の信仰者なのだ」と言う。「神は、私にとって、存在ではなく、人々の間で起こり得ることのための言葉である。例えば、誰かがあなたに『私はあなたを見捨てない』と言い、そしてその言葉が実現する。その“関係”を神と呼ぶことに全く問題はない」と述べている。