主をおのれの喜びとせよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる。あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。(詩篇37:4、5)
神様の恵みに日々生かされることは、本当に幸いなことです。
何年か前、アメリカで、オジキン病(リンパ腺ガン)に冒されながらも明るく生きた婦人の病床日記が、大変話題になりました。病床日記『それでも私は生きる』は、出版されるや否や、立て続けに映画化、テレビ放送と人気を呼び、十カ国以上で翻訳されました。著者はローレル・リーさんという33歳の母親です。
彼女の両親はクリスチャンでしたが、信仰から離れて、富ばかりを求めてしまってしました。富というものは得れば得るほど、もっと欲しくなるものです。喜びのない、心の家庭でした。彼女は本当の平安を求めつづけました。ある日のこと、ふと開いた聖書に「求めなさい。そうすれば与えられます」(マタイ7:7)と書かれているのを見つけました。彼女は「神様が答えた!」と思いましたが、その時ははっきりわかりませんでした。
やがて結婚した彼女は、主人といっしょにアラスカに行きました。彼女の心の中には、アラスカに行けば、そこで神様を見つけることができるという思いがあったからです。アラスカへ行く車の中で、彼女は聖書を読み始めました。幼い時から、常に他人と比較する生き方をしてきた彼女でした。聖書を読むうち、そうした自分の罪を示され、彼女は思わず「ごめんなさい。赦してください」と叫びました。そして、イエス・キリストを救い主として心にお迎えしたのです。その時、すばらしい変化が彼女の中に起こりました。彼女はうれしさのあまり、イエス・キリストのことを、周りの人々に話しはじめました。
やがて主人との間に2人の子どもが与えられました。ところが3人目が宿ったころ、咳がひどいので、医者に診てもらおうと、すぐ入院するようにと言われました。彼女は自分の病気が何か確かめたくて、カルテを盗み見しました。そこには「ガン」と書かれていました。大きなショックと恐れが彼女を支配しました。
そこで彼女は神様に祈りました。すると、一つのことばが彼女の心に響いてきたのです。
この病気は死で終わるだけのものではなく、神の栄光のためのものです。(ヨハネ11:4)
神のことばを信じた時、平安が彼女の心を支配しました。知恵遅れになるかもしれないと心配された赤ちゃんも、元気に生まれました。女の子でした。
出産後、回復を待って、彼女は手術を受けましたが、ガンはもう身体中に転移していました。彼女は自分が生きられる日数はわずかしかないと思いました。そして、それから7回も入退院を繰り返し、幾度も生死の境をさまよいました。彼女の主人は将来に対する恐れから、離婚し、去っていきました。彼女の心は沈みましたが、その時も聖書のことばを信じたのです。
神を愛する人々、すなわち、神のご計画に従って召された人々のためには、神がすべてのことを働かせて益としてくださることを、私たちは知っています。(ローマ8:28)
彼女は、残りの人生で4人の担当医にイエス・キリストを知らせたい一心で、病床日記を書きはじめました。それはまた、幼い3人の子どもたちに残すためでもありました。医者たちは興味深く読み、やがて病床日記は出版される運びとなりました。そのころから、不思議なことに病気が回復に向かいはじめたのです。彼女は今、世界各地を回って、その体験を話しつづけています。
神様のなさることは、何とすばらしいことでしょう。
主をおのれの喜びとせよ。主はあなたの心の願いをかなえてくださる。あなたの道を主にゆだねよ。主に信頼せよ。主が成し遂げてくださる。(詩篇37:4、5)
エレベーターのボタンには、上向きと下向きがあります。あなたの心のボタンも同じです。信仰をもって、神様を信頼して、上向きのボタンを押してみましょう。どんな悲しみの中にも、神の栄光が現れてきます。
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榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。
このコラムで紹介する著書『希望の声』(マルコーシュ・パブリケーション)は、同師がラジオ番組「希望の声」で伝えたメッセージをまとめた珠玉のメッセージ集。放送開始25年を迎えた98年に、過去25年間伝え続けたメッセージの中から厳選した38編を紹介している。