【CJC=東京】国連総会本会議に12月18日、同性愛の非犯罪化を求める宣言案がアルゼンチンのホルヘ・アルグエロ国連大使が代表して提出された。加盟国192カ国のうち、日本など66カ国が賛成し署名したが、アラブ諸国の一部やバチカン(ローマ教皇庁)は拒否した。
宣言案は世界人権宣言60周年を記念して提出された。法的拘束力は持たないが、国連の人権機構がこれまでくり返してきた性的指向や性同一性に関する人権を改めて確認した。ナバネーセム・ピレイ国連人権高等弁務官は、提案を歓迎している。
バチカンの国連常駐オブザーバー、セレスティーノ・ミリオーレ大司教は10日、「性的指向と性同一性」に基づいて差別を非難する決議案には反対だ、と語っている。
聖座(教皇庁)は、提案が同性愛者に対する暴力を非難していることを承認し、「彼らに対しすべての刑事罰を科すことを止める」という呼び掛けには同意するが、宣言案は、呼び掛けや、合意の域を越えたものだ、と大司教は言う。
大司教は、「性的指向と性同一性」という用語は、国際法では認められていないし、それを盛り込んだ決議は「法律に深刻な不確定さを生み出し、新たな、また既存の人権会議や基準に踏み込んだり、制定する国家の力を損なうことになる、と説明した。
イスラム諸国会議機構は60カ国の賛同を得て、「反差別と平等の原則は認めるが、普遍的人権は特定の集団の権利に焦点を当てようとするものではない」との声明を公表している。