12月1日の世界エイズデーに合わせて、厚生労働省や都道府県、NGOなどが、エイズに関する正しい知識の普及を呼びかける様々なイベントを企画している。キリスト教国際NGOワールド・ビジョン・ジャパン(東京都新宿区)は、12月1日から5日を「エイズデーウィーク」として、同団体のホームページ上でエイズが世界の子どもたちにどのような影響を与えているのかを連日伝える特別連載を期間中に行うほか、カンボジアから来日中の同団体スタッフが、カンボジアにおけるエイズの広がりと子どもたちの現状、それに対する同団体の取り組みについて伝える集会(12月5日)を同事務局で実施する。
世界エイズデーは、WHO(世界保健機関)が1988年、世界規模でのエイズ蔓延(まんえん)防止と患者・感染者に対する差別や偏見の解消を目的として定めたもの。毎年この日には、世界各地でエイズ問題に関する様々な取り組みが行われている。
日本でも厚生労働省などが中心となって、アンジェラ・アキさんなど著名なアーティストらがエイズの予防啓発を呼びかける無料招待のライブイベント「レッド・リボン・ライブ2008」(11月29日)や東京・渋谷駅周辺での街頭キャンペーン(同日)の実施、世界エイズデー前後にインターネット上で全国の検査相談体制を紹介するなどの啓発活動を行っている。
厚生労働省のエイズ動向委員会が11月19日に発表した報告によると、今年の7〜9月に新たに報告されたエイズウイルス(HIV)感染者数は294人と、3カ月間の感染者数としては過去最多を更新。感染者の累計は初めて1万人を突破した。
HIVに感染してもすぐにエイズが発病するわけではなく、感染後、平均で約10年といわれる潜伏期間(あまり症状のない期間)がある。このため、潜伏期間中に本人も気付かないうちに人に感染させてしまう危険性がある。
エイズ動向委員会の岩本委員長は、「早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつく」とし、HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用するよう呼びかけている。
世界エイズデー前後に全国の自治体で実施される検査相談等に関する情報は、「エイズ予防情報ネット」のイベント情報ページ(http://api-net.jfap.or.jp/htmls/frameset-11.html)で。