世界125カ国で活動するキリスト教主義の依存症回復支援団体「ティーンチャレンジ」。その各国の働きを束ねる「グローバル・ティーンチャレンジ」の元代表であるドン・ウィルカーソン牧師(80)が新型コロナウイルスに感染し、一時重篤な状態になったものの回復を果たした。
米キリスト教系テレビ局「CBN」(英語)によると、ウィルカーソン氏は3月初旬、ティーンチャレンジのニューヨーク・ブルックリン支部を訪問した後に体調が悪くなり始めた。「肺炎になり、ほとんど歩くことも話すこともできませんでした」と当時を振り返る。
病院に行き、新型コロナウイルスの検査を受けたが、その時はただ鎮痛剤をもらって家に戻され、結果を待つように指示された。約1週間後に陽性判定が出たときにはすでに重症で、再び病院に運ばれた。
ウィルカーソン氏はその際、新型コロナウイルス感染症の入院患者を対象に緊急使用が許可されている抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を処方されたという。看護師から、新型コロナウイルス感染症に対してはまだ試験的な薬であると説明を受けた上で使用を承諾した。処方された当日は意識がもうろうとしていたが、翌日朝には体調が非常に良くなり、それまで失われていた味覚も回復。妻のシンシアさんにかけた電話でも、「味がする」と3回も話すほどだったという。そして数日後には退院することができた。
娘のジュリー・クローズさんがフェイスブックに投稿した文章によると、シンシアさんも新型コロナウイルスに感染したが、回復に向かっているという。ジュリーさんは、ウィルカーソン氏が自宅に戻り、ジュリーさんの誕生日を一緒に祝ってくれたことをフェイスブック(英語)に写真付きで投稿。「今までにない最高の誕生日!」と喜びをあらわにするとともに、祈ってくれた人々に感謝を示した。
病後のウィルカーソン氏もイースターの12日には、フェイスブック(英語)に次のようにコメントを投稿した。
「大人になってからは、『なぜ?』と悩んだことはほとんどありませんでした。『神よ、なぜあなたはこれやあれを許したのですか?』という質問にです。この質問に対して私がいつも信じてきた聖句は、『(神は)正しい者にも正しくない者にも雨を降らせてくださる』(マタイ5:45)です。信仰者は信仰者ではない人と同じ苦しみを経験するものです。
しかし最近、私は正直にならなければなりませんでした。『40~50人いるブルックリン・ティーンチャレンジの学生やインターン、スタッフの中で、なぜ私だけが新型コロナウイルスに陽性となったのでしょうか?』 何日もの間『なぜ私は新型コロナウイルスに感染したのでしょうか?』と尋ねました。そして答えが出ました。『あなたはウイルスに感染したが、新型コロナウイルスはあなたの命を取らなかった。なぜなら、キリストの体(である教会)があなたのために祈ってくれたから』。イエス様、感謝します!」
ウィルカーソン氏は、ティーンチャレンジの創設者デイビッド・ウィルカーソン牧師の弟。ニューヨーク・ブルックリンにあるティーンチャレンジのセンターで施設長を務めた他、1995~2007年には各国に広がる働きを束ねる「グローバル・ティーンチャレンジ」の代表を務めた。