英国ロンドンで有名な二階建ての赤いバスに、「神は多分いない」などと書かれた無神論者の広告が、近い将来掲載されるかもしれない。
このキャンペーン広告は、無神論を主張する英国ヒューマニスト協会(BHA)が出稿するもので、スポンサーとして無神論活動家として知られるリチャード・ドーキンス氏が協力している。AFP通信によれば、広告費5500ポンド(約88万円)を賛同者から1口5ポンド(約800円)で集め、すでに目標額に到達したという。早ければ来年1月にも、広告をつけたバスがロンドン市内を回りそうだ。
今回掲載が予定されている「神は多分いない。心配するのはやめて、人生を楽しもう」という広告は、すでにロンドン市内を走る二階建てバスに掲載されている「神を拒む者は地獄で永遠に苦しむことになる」というメッセージに対抗するものだという。
同協会のハンネ・スティンソン氏は、「わたしたちの周りには、キリストによる救いを説いたり、永遠に苦しむと脅したりするポスターであふれている。だから今回の広告は、新鮮な空気を提供することになり、歓迎されると確信している」(AFP)などと語っている。
これに対して英国内の教会の反応は様々なようだ。英国国教会(聖公会)の広告担当者はAFP通信に対して、いかなる団体も適切な手段を用いた言論活動であればその権利は擁護されるが、「キリスト教は、人々を不安がらせたりするものではなく、人生を楽しんではならないとも言っていない。むしろその逆で、私たちを解放し、この世を正しく見させてくれるものだ」と指摘した。
一方で、英国メソジスト教会は、今回の広告が「神への継続的な関心」をもたらすとして、一定の評価を与えている。同教会幹部のジェニー・エリス氏は、「(この広告が)人生に対する深い問いに関心を寄せさせるものであれば、このキャンペーンはよいものと言える」「キリスト教は、人生やその意味について考えることを恐れない人々のものだ」などと語った。