【ワルシャワ=ENI・CJC】(ジョナサン・ラクスムーア記)ロシア外務省は、宗教の自由に関する米国務省報告書「国際宗教の自由レポート」2008年版の指摘を否定する声明を発表した。報告書は、ロシアで少数派の信仰が不公平な扱いを受けている、と言う。
「ロシア正教会の特権的地位に関する指摘は、またも誇張されたものだ。複合国家の米国がカトリックのクリスマスを公式に祝っていないからと言って、正教会のクリスマスがロシアで休日とされているのをその“証拠”としている」と外務省は声明で反論している。
米国務省報告書は、ビルマ、中国、北朝鮮、イラン、スーダン、エリトリア、サウジアラビア、ウズベキスタンを「特に懸念のある国」としたほか、宗教的権利が「大きく懸念」する24カ国の中にロシアを入れている。
国務省報告書は、ロシアの最近の改善状況を指摘している。それには当局が宗教指導者と積極的に接触するようになったこと、公式な人権委員会が問題に関心を持つようになったことが触れられている。
しかし、連邦や地方当局は、プロテスタント、カトリックを含めて、宗教的少数派の権利をなお制限している、と報告書は断定している。「政府が一般に人口のほとんどのために宗教の自由を尊重する一方で、場合によっては、特定のグループには制限を課し、政教分離や、法律の前ですべての宗教の平等を尊重したわけではない」と報告書は指摘している。「ロシア正教会の聖職者の何人かは、カトリック、プロテスタントなど非正教派の存在が拡大することに、公然と反対している」と言う。
外務省声明は、「特定の宗教団体の活動が法制度の枠組を越えるべきでない」ことはロシアでは受け入れられている、と報告書について指摘、「法律が侵され、人々と社会への脅威があるならば、国家は黙って傍観することは出来ず、適切な行動をとらなければならない」と付け加えた。
外務省声明は、米国報告書に対し、非政府組織に関する最近の法改正が「登記や責任の要件を簡素化し」たものだ、と指摘した。それなのに「国務省はまだ、現在の規制が“非常に負担となっている”と不満を言う」としている。「わたしたちは、米国務省の専門家にとって、1000年以上も正教会とイスラムが共存し、ユダヤ教徒と仏教徒が何世紀にもわたって発展し、カトリックやさまざまなプロテスタント運動が追随者を見出して来たロシアの歴史を理解することが常に容易なわけではないことは理解する」と述べている。