スリランカ西部に位置する同国最大の都市コロンボや東部バティカロアなどで21日、3つの教会を含む計8カ所で爆発があった。ロイター通信などによると、これまでに207人が死亡、450人が負傷した。イースター(復活祭)を祝う教会や、多くの外国人観光客が集まる外資系ホテルを狙った犯行とみられる。日本のメディアによると、負傷者には日本人数人も含まれている。
爆発があった教会は、コロンボ北部ネゴンボの聖セバスチャン教会(死者数は21日時点で81人)、バティカロアのシオン教会(同27人)、コロンボの聖アンソニー教会(同24人)。
AFP通信によると、最初に爆発の通報があったのは、聖アンソニー教会と聖セバスチャン教会。午前8時半(日本時間正午)ごろに最初の通報があった。その直後に、コロンボの3つのホテル、シオン教会で爆発が確認された。その後、コロンボ近郊の動物園などでも爆発があった。
爆発があったホテルは、「シャングリラ・コロンボ」「キングスベリー・ホテル・イン・コロンボ」「シナモン・グランド・コロンボ」で、いずれも五つ星のホテル。事件発生時には、イースターの朝食バイキングが行われていたという。
聖セバスチャン教会は同日、フェイスブックに被害の様子を写した写真とともに、「教会が爆発の被害に遭いました。もし家族が教会に来ていた場合は、来て助けてください」と投稿した。
これまでのところ、犯行声明などは出されていないが、ロイター通信によると、現地の警察当局は爆発に関わったとして7人を拘束した。
多民族国家のスリランカは1948年に独立して以来、主に仏教徒を中心とする多数派のシンハラ人と、ヒンズー教徒を中心とするタミル人の間で対立が続いてきた。70年代に入ると、タミル人の過激派組織「タミル・イーラム解放の虎」(LTTE)が結成され、政府軍との間で内戦状態になり、大統領が爆発テロの犠牲になるなどした。
しかし2009年にLTTEが敗北宣言をし、内戦が終結してからは、大規模なテロなどは起きていなかった。今回のテロは、主にキリスト教会を狙ったものとみられ、これまでの対立構造とは違うグループが関与した疑いがある。
一方、約200の教会やキリスト教団体が加盟するスリランカ福音同盟(NCEASL)によると、スリランカでは昨年、クリスチャンに対する差別や脅迫、暴力行為が86件報告されている。今年はこれまでに26件が確認されており、先月25日には仏教の僧侶が、教会の日曜礼拝を妨げようとしたという報告があったという。
カトリック教会はこの日、コロンボ地区にある教会では夕方のミサを中止した。またスリランカの教育相は同日、安全のためすべての公立学校を今後2日間閉鎖すると発表した。