元夫Aに突然大声で怒鳴られて以来、幼少期の「トラウマ」がよみがえり、「この人も、何で怒るか分からない怖い人かも」という思いが芽生えました。職業柄、暴力はありませんでしたが、言葉で傷付けられることや、独特の価値観で振り回されることがしばしば起きてきました。それでも、「2人で先祖の墓参りをした結果、結婚できたのだから大丈夫」という自信があり、「離婚」などまったく考えてもいませんでした。
ファイターというものは、「独自の常識」を持っているのだろうし、何より、「私の常識」を理解してくれるところもあったので、「持ちつ持たれつだ」と深く悩むまでには至りませんでした。しかし、「X」の教理に従い、熱心に「墓参り」(先祖崇拝・偶像礼拝)をしていたことは、「天の父」の恵みから外れた道へと、どんどん進ませていきました。
1996年、新日本プロレス(以下、新日)が、S誌(プロレス専門誌)を取材拒否する事態が起きたとき、「X神」が私たちの関係にヒビを入れようと罠(わな)を仕掛けてきたと思わせる出来事がありました。
「独占!女の60分」(テレビ朝日) でお世話になった、ジャガー横田さん、バイソン木村さん、「ピーターパン」で共演以来交流があったライオネス飛鳥さんが「雷神隊(ライディーン・アレイ)」を結成し、吉本女子プロレスより本格復帰することになり、その試合にご招待を受けて観戦に行った日でした。
通されたVIPルームで、当時のS誌編集長T氏の奥様N夫人と初めて対面したのです。時が時でしたから、ごあいさつだけ、と思ったのですが、N夫人は、とてもフレンドリーに接してくださり、「公の事情は私たちには関係ないから」とも言われたので、私も心を許し打ち解けていきました。
しばらくたった頃、N夫人が「取材拒否」の話題をさりげなく出してきました。本当に軽い世間話のように、時にギャグを交えながら振ってきたので、私もつい「芸人魂」が顔を出し「まあ、それはどーもスミマセ~ン♪・・・って、私は全然関係ないですけどね(笑)」と、下手なオチを口走ってしまったのです。その場は、それで笑って終わりました。
ところが数日後、「新日の役員C氏が『Aの嫁が勝手にSプロに謝りに行きやがった!何様のつもりだ!』とひどく怒っている」と、K選手夫人から聞きました。N夫人がS誌編集部に出向き、「A選手の奥さんが私のところにわざわざごあいさつに来て、『取材拒否の件、本当に申し訳ありません』って謝ってくれたのよ~♪」と得意気に話された、というのです。まさに「違うだろぉ~!違うだろぉ~!」です。
「こうやって、欲しいコメントを引き出したのか・・・」とショックでした。とはいえ、ギャグであっても、言ってしまったことは事実。深く反省し、「絶対怒られる」覚悟でAに話しました。ところが、怒るどころか、私を心配し、すぐC氏に電話を入れ、私のことをかばい、必死で釈明してくれたのです。
C氏も「酔っていたとはいえ、事実確認もせず、いろんな関係者のいる席で言い過ぎた」と思われたようで、その後は何事もなく普通に接してくださいました。この事件?で、私たちの夫婦関係にヒビが入るどころか、かえって絆が深まったようにさえ感じました。しかし、当時まだ「X神」の掌中にいた私は、さらなる事態へと引っ張られていくのです。
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