サウジアラビア国王が提案し、ムスリム世界連盟(MWL)が主催した国際宗教会議に参加した世界の宗教指導者らは18日、テロ根絶のための国際的合意を促す内容の声明を採択した。
スペイン・マドリードで16日から3日間にわたって開催された会議では、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教、仏教など世界主要宗派の指導者ら約200人が参加。最終日18日に発表された声明で参加者らは、「もはやテロは“地球村”のどこででも発生している全世界的なものとなっている」とし、「国際社会は真摯でありながらも、責任感強く正当な方式でテロと立ち向かい、戦うべきだ」と述べた。
一方で、「テロとは何を示すのかを正確に規定し、テロを根絶しようとする努力において国際社会の合意が必要だ」と指摘し、「国際社会の正義実現と安全保障に寄与できる道を模索しなければならない」と主張した。
また参加者らは声明で、宗教間における衝突を防ぐための国連の主導的役割を強調したが、国連に依存しなくても各宗教間の対話を活性化させられる道を模索すべきとの意向を示した。
会議の開幕時には、サウジアラビアのアブドラ国王が演説で、「宗教間における対話が多様な国際社会の問題を解決するにあたって重要な役割を果たすだろう」「今日、宗教が批判されるのは宗教自体に問題があるためではなく、間違った誤解のゆえである」などと語り、「宗教に対する批判は、宗教間における歴史的葛藤に起因するものではなく、テロリズムに対する批判であるべきだ」と述べた。今回の声明はアブドラ国王の演説の内容がほぼ反映されたものとなっている。
今回の会議は世界各国から200人近くの宗教指導者らが参加したが、キリスト教からは、フランクリン・グラハム牧師、ローワン・ウィリアムズ・カンタベリー大主教、米国元副大統領のアル・ゴア氏、ジェシー・ジャクソン牧師、トニー・ブレア前英首相らが参加。討議自体はメディアに非公開で行われた。
主催したムスリム世界連盟のアブドラ・ビン・アブドラムシン・ アルツルキ事務総長は、「こうした宗教間の対話を持続する必要がある」と語り、今回と同様の会議を今後も継続して開催していく意向を明らかにした。
その一方で、今回の会議がイスラム教国であるサウジアラビアの国王の提案によって開催されたものであるため、イスラム教勢力の政治的な目的がその根底にあるのではないかと、会議自体を警戒視する声もあったという。