米シカゴで5日早朝、恐ろしい事件が起きた。バプテスト教会の引退牧師であるアレン・スミス氏(80)が、聖書に関して口論となった67歳の別の引退牧師により銃殺された。加害者の引退牧師は、車いすで生活をしていたという。
地元紙シカゴ・トリビューンによると、スミス氏とテッド・マーチャント容疑者は事件当時、いつものように老人ホームの裏庭で聖書に関して話をしていたが、マーチャント容疑者が銃を取り出し、スミス氏を射殺したという。
同紙によると、マーチャント容疑者は現場から電動式車いすで逃走したが、3区画離れた場所で同日午後1時5分に逮捕された。その後、マーチャント容疑者は第1級殺人の罪で起訴され、拘束された状態で7日、法廷に立たされた。警察によると、銃撃の模様が防犯カメラに映っていたという。
クリスチャンポストは、スミス氏が射殺された詳細についてシカゴ警察に問い合わせたが、メディアによる取材は受け入れられなかった。
コネチカット州ハムデンにあるクリスチャン・タバナクル・バプテスト教会(CTBC)のホームページによると、同教会は、ニューヨーク州での副牧師としての奉仕を終えたスミス氏により、1962年に始められた。
「CTBCは、1962年7月8日に最初の礼拝を行いました。同年8月5日、形成されて間もない礼拝者の群れは、54人の人々を最初の教会員として受け入れました。この新設教会は、エール神学校を卒業したアレン・スミス牧師の指導の下で教会として設立されました。スミス牧師はニューヨーク州ジャマイカ地区にあるセントオールバンズ会衆派教会で、1年間の副牧師職を終了したばかりでした」と、同教会のホームページには書かれている。
CTBCは電話での連絡には応答しなかったが、教会のフェイスブックには、スミス氏の追悼礼拝が7日午後7時に行われるとの投稿があった。
「残念ながら追悼礼拝には出席できませんが、私の心は出席者の皆さんと共にあります。不思議なことに、48年前の今日、私の両親は、スミス牧師の司式で結婚式を挙げました。スミス牧師を心から哀悼します」と、マイケル・ライトさんはこの投稿にコメントした。
ウィルフレッド・シーリーさんは、こうコメントしている。「このような形で神の人が取り去られるのは、とても悲しいことです。これからも日々祈りに覚えたいと思います」
老人ホームの入居者らが同紙に語ったところによると、スミス氏は東シカゴにある第一バプテスト教会を引退した後、約1年前にこの老人ホームに入居してきた。
入居者らによると、マーチャント容疑者は6年前から入居しており、施設の集会室で「ストレート・ゲート」と呼ばれる集会を行っていたという。スミス氏とは、事件現場となった裏庭で、信仰のことについてよく議論していたという。
入居者のドロシー・ハルさん(76)は、「2人はあそこにいることがよくありました」「聖書の内容や神観について話していました。そういった問題で、2人がちょっとした口論になることはよくありました」と言う。
しかしハルさんは、まさかマーチャント容疑者がスミス氏を殺害するとは思わなかったと語った。
「とても驚きました。私は今でも信じられません。マーチャントさんは毎週日曜日の朝、集会室で礼拝を導いていたのですから。あの方も引退した牧師でしたが、ここでは集会を行っていたのです。彼があんなことをするなんて、私には信じられませんでした」
一方、ハルさんは、スミス氏につて、とても人柄が良く、生涯独身で子どももいなかったと話した。
「彼はとても人柄が良く、とても社交的で、とても友好的でした」「世話好きな人で、買い物に行ってくれるなど、いろいろなことをしてくれました」
ABC7ニュースによると、シカゴでは、祝日「レイバーデー(労働者の日)」であった5日、発砲事件により13人が死亡、52人が負傷した。スミス氏はその13人の1人だったことになる。
米紙USAトゥデイによると、米国第3の都市であるシカゴでは今年、これまでに約500件の殺人事件が発生しており、年間の殺人事件の件数が、1990年代の麻薬戦争以降最多に到達するとみられている。