昨年6月、聖書の勉強中に白人至上主義者を自認する男によって9人が射殺された、米サウスカロライナ州チャールストンにあるエマニュエル・アフリカン・メソジスト監督(AME)教会が、教会の歴史上初めて女性牧師を指名した。ベティ・ディアス・クラーク氏だ。
地域ニュースサイト「The Post and Courier」によると、21日に初めて礼拝で説教したクラーク氏は、恐怖に震えつつも希望についてのメッセージを伝えた。
礼拝後クラーク氏は、「心の中で、正しい言葉だと感じました」と語った。「私は過去を重くとらえ過ぎたくはなかったのですが、現在と将来を現実的に考えたかったのです」
地域ニュースサイト「WIAT」によると、クラーク氏は以前、サムターにある歴史的なピスガ山AME教会を牧会していたという。彼女は、昨年6月に殺害された犠牲者の一人で、州上院議員でもあった故クレメンタ・ピンクニー氏の友人だったと語った。
クラーク氏は取材に対し、「私の会衆の中には、それが昨日のことのように感じる人も確かにいます。私はその人たちと共に座り、共に泣き、語り掛け、そして神に語り掛けてここからどこへ向かっていくのか、神の意志により決まるように時間をとることになるでしょう」と語った。
メッセージの中で、彼女は会衆に対し、お互いを知るには時間が必要だろうと語った。
「The Post and Courier」によると、彼女は「神は私たちの痛みを感じ、叫びを聞き、そして私たちの一挙手一投足をご存じです。夢と希望があったにもかかわらず、多くの方のご遺体を葬ることになりましたが、私たちは希望を葬ってはなりませんし、葬ることを許してはなりません。私たちは、神の家族として、私たちの最善の日が目の前にあることを信じなければなりません。私たちはより良い日が来ようとしていることを信じなければなりません」と語った。
彼女はさらに、自身の指名を「新しい流れを示すこと」だと示した。
「私たちが、今まで全くしなかったことをしていることは分かっています。しかし、毎朝起きるとき、以前にはなかった日がそこにあるのです。そして、あなたの歩み一歩一歩は、これまで取ったことがない歩みなのです。今日はただ、始まりです」
教会に長く籍を置く教会員は、クラーク氏の説教を称賛し、常勤の牧師が決まったことの解放感を吐露した。
ブレンダ・ベネットさんは、「主に感謝します。神はその心にある女性を送ってくださいました」と述べた。
教会での銃乱射事件を受け、臨時牧師であるノーベル・ゴフ氏が千人を超える会衆たちを牧会していた。「The Post and Courier」によると、ゴフ氏は現在、地域の長老の代表として仕えており、将来的には監督になる予定だという。
ゴフ氏は、「ゴフ姉妹と私は、ほかの教会を巡る旅に出る予定です。ですから、毎週日曜日に私たちを見ることはないでしょう。しかし私は、このマザー・エマニュエルの皆さんに、私たちの心と祈りが皆さん一人一人と共にあることを知ってほしいのです。皆さんは私たちの心の中で、永遠に特別な思い出となります。皆さんを愛し、気にかけています」という温かい別れの言葉を残した。
エマニュエルAME教会は、南部で最も古くからの歴史ある教会だ。