キリスト教精神に基づいた国際NGOのワールド・ビジョン・ジャパン(榊原寛理事長、東京都新宿区)は、今年7月に北海道洞爺湖で開かれる主要国首脳会議(G8サミット)に合わせて、日本と他の首脳陣の政治的意思が、命の危機に処せられている子どもたちの救命を目指すものとなるよう具体的な政策提言をまとめ、各国のワールド・ビジョンと共同で署名活動を展開している。
提言では、(1)2010年までに総額500億ドルの援助増額という公約実現に向けて、具体的な予定を策定すること、(2)HIV/エイズの予防、治療、ケアへの普遍的アクセス達成という公約実現に向けて、資金拠出を含む計画を策定すること、特に、母子感染予防、小児治療、エイズ遺児へのサポートについての資金拠出に関して、戦略を策定すること、(3)乳幼児死亡率の削減、妊産婦の健康改善、感染症の拡大防止などの保健分野に関するミレニアム開発目標(MDGs)達成に不可欠な、途上国の保健医療システム強化のための援助資金を増加させること、を求めている。
同団体によると、世界では現在、1年間に約970万人の子どもたちが防げるはずの病で命を落としている。また、エイズによって約1500万人の子どもたちが親を亡くしている。
高村正彦外相はすでに、今年のサミットでアフリカ支援と国際保健の問題を重要な議題とすることを表明しており、日本のサミットでの役割が期待されている。8年前の九州・沖縄サミットでは、議長国であった日本政府が「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」の設立に大きな役割を果たした。この基金により、これまでに76億ドルの資金が感染症対策のために集められ、約180万人の命が救われている。
同団体は、G8のうちイタリアを除く7カ国ある各国のワールド・ビジョンと協力し、日本をはじめG8参加各国からも政策提言への賛同を求めていきたい考えだ。
詳しくは同団体ホームページ「G8洞爺湖サミット・キャンペーン」特設ページ(http://www.worldvision.jp/g8)で。