V・S・O・P。これはブランデーの銘柄でかなり上等なものです。何も飲酒のススメをしようというわけではありませんが、私は青年たちにこのV・S・O・Pをもじってよく語ります。
Vitality(力強さ)Specialty(特殊性)Originality(独創性)Personality(人柄)この四つが揃うと芳醇な香り高い味が人を酔わせる如く魅了する。青年は仕込みの時代、VSOPめざして励んだらよいてな勧めをなすのです。
ところが余り言い続けるのでVery Special One Pattern、同じことばかり言うな!となってしまいました。
でもキリスト教は二千年同じことを繰り返し語ってきた偉大なるVSOP宗教だと思いませんか。エッ?思う?結構、ケッコウ。
私のVSOPを一つ。キリスト教は「インマヌエル・アーメン」(神共にいます、それは真実)の一語で全てを表現できる!
ではいつ「神我らと共にいます」と実感できるのでしょう。それは伝道、宣教においてなんですよ。
「弟子たちは出かけて行って、至るところで宣教した。主は彼らと共に働き、彼らの語る言葉が真実であることを、それに伴うしるしによってはっきりとお示しになった」(マルコ十六章20)。
「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる」(使徒言行録十八章9)。
主が共にいて下さるという実感にみたされるのは伝道、宣教においてなのです。
なかなか結果が出ない伝道、徒労に終わるかに見える宣教に従事していく、その時「わたしも見下され、見限られ、見捨てられるような目に遭いつづけたから、あなたの無念さ、淋しさはよく分かる。大丈夫、わたしがあなたとともにおり、あなたを支え続ける」と言って下さる復活の主にお会いするのです。
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山北宣久(やまきた・のぶひさ)
1941年4月1日東京生まれ。立教大学、東京神学大学大学院を卒業。1975年以降聖ヶ丘教会牧師をつとめる。現在日本基督教団総会議長。著書に『福音のタネ 笑いのネタ』、『おもしろキリスト教Q&A 77』、『愛の祭典』、『きょうは何の日?』、『福音と笑い これぞ福笑い』など。
このコラムで紹介する『それゆけ伝道』(教文館、02年)は、同氏が宣教論と伝道実践の間にある溝を埋めたいとの思いで発表した著書。「元気がない」と言われているキリスト教会の活性化を期して、「元気の出る」100のエッセイを書き上げた。