今年、アメリカの著名なキリスト教指導者が相次いでこの世を去った。その死は、アメリカ国内だけでなく、全世界にも大きな衝撃を与えた。以下に、今年この世を去るまで、その生涯をかけて世界宣教に大きく貢献した幾人かのキリスト教指導者を紹介する。
ジェリー・ファルエル(1933〜2007)
ファルエル氏は1956年、22歳でトマス・ロード・バプテスト教会を信徒35人と共に設立。同教会は現在、信徒数約2万4千人を突破し、米国でも指折りのメガチャーチの一つとなっている。
79年には、妊娠中絶の権利を認めた決議に反対し、ロビー組織「モラル・マジョリティー(道徳的多数派)」を結成。保守政治家も加わり、会員は650万人と大きく成長した。87年に活動を中止するが、同性愛や妊娠中絶などの問題が再燃し始めた04年、「モラル多数派連合」と改称して活動を再開した。
「キリスト教右派の顔」としてテレビ番組にも多数出演。しかし、その極端的な発言で多方面から批判を浴びることも多かった。
83年には米誌「USニュース・アンド・ワールド・リポート」で米国で最も影響力のある25人の1人に選ばれた。
ルース・ベル・グラハム(1920〜2007)
世界的なキリスト教伝道者ビリー・グラハムの妻。夫の宣教活動を献身的にサポートしながらも、5人の子どもを育てた。
家族や友人はグラハム氏を、自立した人、ユーモアのある人、親切で信仰深い人だと語る。
妻について聞かれるといつもビリー・グラハム氏は、「自分が知る限りでもっとも偉大なキリスト者」だと記者たちに答えていた。
レックス・ハンバード(1919〜2007)
米放送伝道の先駆者で、最初の「テレバンジェリスト(テレビ伝道者)」として知られる。
ハンバード氏は49年に米CBS系列局から放送伝道を開始し、世界の注目を集めた。その後、北米360局で放送が続き、91言語に訳されて世界2000局以上から放送され、受信者は数百万人に上ったとされる。
76年には日曜日の平均視聴者が800万人に。歌手エルビス・プレスリーも熱心な視聴者の一人だったという。エルビスの死後、その葬儀の司式をハンバード氏が担当した。
ハンバード氏は、国内外で伝道集会も行った。マジソンスクエア・ガーデンやカーネギー・ホール、東京武道館、シドニー・オペラ・ハウスで行われた伝道集会はいずれも満員に。79年にブラジル伝道を行った際には全土で120万人を集め、リオデジャネイロの世界最大のスタジアムでの集会には18万人が詰め掛けたという。アフリカ各地にも伝道し数十万人に福音を伝えた。
D・ジェームズ・ケネディ(1930〜2007)
ケネディ氏は59年、コーラルリッジ長老教会で牧会を始め、メディアを用いた宣教を目的としたコーラルリッジ宣教会、世界的に活動するエバンジェリカル・イクスプロージョンなどの宣教団体を創設。保守派の福音主義者からは全世界に重大な影響を及ぼした第一級の人物として認められている。
ヨランダ・キング(1955〜2007)
米公民権運動の指導者、故マーティン・ルーサー・キング牧師の長女で女優、社会活動家。父の遺志を継いでマサチューセッツ州スミスカレッジで演劇とアフリカ系米国人学を専攻し、ニューヨーク大学で修士号(演劇)を取得した。演劇、映画や作家活動などを通じて平和と非暴力を呼びかけた。