国内で最も人気がある書画詩人2人の初めてとなるコラボレーション展「花の詩画と書の世界 星野富弘・相田みつを展」が27日から、東京都千代田区の相田みつを美術館で始まった。同館の開館11周年記念として行われ、「『ひとつの風土・二つの世界』いま出逢うふたつのいのち」をテーマに、星野富弘の作品78点、相田みつをの作品51点、合計129点の書画が展示された。2人の歩みを紹介するパネル展、作品制作に関わった物品の展示、ビデオ上映など贅沢な演出がなされ、まさに「2人の作品を一同に見たい」というファンの声に応える夢の書画展となっている。
初日となる27日には、オープニングイベントとして聖路加国際病院名誉院長の日野原重明氏を迎えてのテープカット、 「千の風になって」の日本語訳者・作曲者として知られる新井満氏による記念講演会が行われ、新井氏は、両書画詩人と共通して言葉を大切にしている作家・作詞作曲家という立場から、「いのち」について語った。
星野富弘と相田みつをは世代が異なるものの、渡良瀬川を挟んだ同じ郷土で育ち、その風土に幼い頃の感性を培われてきた。展示会では、互いの作品で似通うテーマのものが並べられ、2人の世界観の違いを作品それぞれから感じることが出来る。さらに、作品を見る人々の多様な視点が加わることで、1つのテーマから感じ取られるものは、まさに十人十色。詩人2人の視点、作品を見る各人の視点、これらが重なり合い、これまでに無い相乗効果をもたらす新しいスタイルの鑑賞を実現している。
星野富弘は、事故による手足の不自由を乗り越え、口にくわえた筆でいのち溢れる豊かな言葉と花を描き、素朴であたたかな作品を描くクリスチャン。相田みつをは、世界の真ん中で生きようとする人間の、弱くはかないありのままの姿を、真っ直ぐな言葉で伝える仏心豊かな人物。
それぞれから見る「いのち」に対する表現は共通して温かく、飾らない素朴さと、不変の真理に根ざした力強さがある。そこには自分の弱さを認めるからこそ出てくる、澄んだ言葉と純粋な思いを見ることが出来る。各作品からは、「いのち」の根底にある、「支えなしには生きられない」という人間のありのままの姿が、文章を通して証しされていた。
書画展は、前期が11月27日から08年1月20日まで、後期が同1月22日から同3月2日まで。期間中、同展の見所を伝えるセミナーや講演会、星野富弘の詩に曲を付け演奏するコンサートなど、2人の魅力を余すところなく伝える様々な催しが企画されている。
相田みつを美術館は、東京都東京都千代田区丸の内3‐5‐1・東京国際フォーラムガラス棟地下1階。JR有楽町駅「国際フォーラム口」より徒歩3分。入場料は期間中、一般・大学生が1000円、70歳以上の人及び中・高校生が500円、小学生が200円、未就学児は無料となっている。問合せは、星野富弘・相田みつを展実行委員会(電話:03・6212・3200)まで。