世界の貧困・飢餓問題に取り組むキリスト教系NGOの日本国際飢餓対策機構(JIFH)が、来月に行うハンガーゼロ・ファシリテーター・トレーニングの参加者を募集している。これは、同機構が毎年2回行っている国内でのトレーニング・プログラム。「いつか海外で働きたい」「なぜ貧しい国があるのか?」「いきなり海外で活動となるとちょっと心配」などと考えている志願者を対象に行っている。
昨年、このトレニーングキャンプに参加した味波珠璃(みなみ・じゅり)さんは、「まず皆で打ち解けてから、学習します。どういうメカニズムで飢餓が起きているのか、飢餓の現状、飢餓の原因、これからのビジョン、リーダーシップ、緊急支援、などなど濃い一週間を過ごしました」と、参加した感想を語る。
幼い頃から慈善活動に興味があったという珠璃さん。元々クリスチャンの家庭で育ったわけではないが、自分なりに飢餓問題の解決策を考え続けていたという。「でも、考えても考えても分からなかったんです」。そんな彼女の転機は高校時代に訪れた。NGOで働いている人が教会にいると聞き、教会に行くようになったという。
「もしかしたら何か得られるかもしれないと思って教会へ行ったら、『神様が私のために死んでくれた』って初めて聞きました。そして、『お金なんか要らないし、本当の愛があれば、特別なすごいこととかじゃなくて、自分の持ってるものを分かち合うだけでできるんだ』って思って、神様を信じることに決めました」
高校を卒業し、語学系の学校に進学するも、情熱がどんどん燃え上がっていくのを感じた彼女は、インターンとして日本国際飢餓対策機構の活動に参加。2014年には、前年11月にフィリピンを直撃した超大型台風ヨランダの復興支援に参加し、現地を訪れた。
「私は、何の物資が足りないのか調べに行きましたが、空港も柱しかなかったし、粗末なパイプイスと机だけで、税関や入国審査とかの業務に従事してました。村に着いたら着いたで、ものすごい悲惨な状況なのに、子どもたちは私の顔を見ると笑顔を見せてくれるんです。『本当に来てくれてありがとう。亡くしちゃった人もいるけど、あなたたちが来てくれて、皆で私たちのことを思ってくれてるのがうれしい』と言われたのが印象的でした。祈りって通じるんだなって本当に思いました」と当時を振り返る。
そして同年、ハンガーゼロ・ファシリテーター・トレーニングのキャンプに参加した。「キャンプに行くときもすごく楽しみにしていました。ルームシェアみたいに同じ場所で生活して、一緒に学んで成長して、家族のように励まし合います。でも朝から夜まで飢餓のことばかりだから、内容を聞いてすごくつらかった。今まで起きてきた飢餓の歴史も、いわば私たちは『加害者』なんです。だから映像で映されているつらそうな人たちを見て、なお悲しくなるんです。私の場合は終わったときに涙が止まらなかった。現実を知ることがつらかった。それもものすごくエグいけど、それでも目を背けず見て、考えて、本気で解決のために祈る、そんな一週間でした」とその時の衝撃を語る。そしてその時初めて、「周囲のこととか、楽しいこととか、お菓子とか・・・今まで欲しかったものなんかどうだっていいから、神様に祈りたいって気持ちになった」という。
現在は学業の傍ら、同機構で週に1回、里子と里親の手紙の翻訳やチャリティイベントの裏方として活動している。「神様がいなかったら関われなかった仕事だと思ってます。元々私は分からなかったり、思い通りに行かないとすぐ投げ出しちゃう子だったので・・・。でも今は情熱も時間も全て神様に与えられてる。だから目を背けたくなる現実があっても、絶対諦めない。神様がかならず良くしてくれると信じています」と言い、将来もこの活動に参加し続けたいと語ってくれた。
今回募集しているハンガーゼロ・ファシリテーター・トレーニングは、3月16日(月)~21日(土)に、東京基督教大学(千葉県印西市内野3−301−5−1)で行われる。費用はテキスト代5000円を含め3万円。定員は12人。参加基準はない。
詳細・問い合わせは、同機構ハンガーゼロ・ファシリテーター・トレーニング係(担当:吉本、電話:072・920・2225、072・920・2227【直通】、メール:[email protected])まで。