「この10月、私が愛してやまない国、日本を、再び訪問することになりました」。 92年の初来日から素晴らしい歌声と信仰の証をもって、苦難の中にある希望と勇気を伝えてきたスウェーデンの歌姫レーナ・マリア。03年からの母国スウェーデンでの活動に専念するため、一時離れていた日本での活動を今秋10月に再開。10日から22日まで、関西地方を中心にしたコンサート公演が行われている。
生まれつき両腕がなく、左足も右足の半分ぐらいしかないという重度の障害者として生まれたレーナ・マリアさん。3歳の頃から水泳教室で学び、5歳から聖歌隊に参加するなど、ハンディを感じさせない明るく活発な子ども時代を過ごして来た。
高校、大学と続けた水泳では、抜群の成績を残し、母国スウェーデンでの国内記録を保持、1986年の世界障害者選手権では代表として出場。50メートル背泳と自由形で金メダル、100メートル自由形では銅メダルと活躍。続くヨーロッパ障害者選手権大会では4つの金メダルを独占した。
1988年ソウルパラリンピック出場後、今度は音楽活動に専念。名門ストックホルム音楽大学ゲンダイ音楽科で、歌い手としての素質を磨く。各地の教会に招かれ、ゴスペルコンサートを開催するなど、その明るい笑顔と、逆境に屈しない人生と、いのちの喜びを伝える情熱的な歌声によって、多くの人々を魅了していった。
日本では91年に「ニュース・ステーション」で紹介され、全国的に知られる存在となり、自らも番組に出演。その後、毎年来日コンサートを行うなど、日本との関係を深めていく。
「参加者ともっと身近に、歌と証しを分かちいたい」というレーナさんの要望から、今回の来日では、チャペルコンサートを中心に小規模な会場でコンサートを行う。
画家としての才能も発揮し、収益を基金にまわすなど、ボランティア活動も活発に行っており、小学校では総合学習の授業でレーナさんのビデオを教材として用い、「障害があるから不幸か」という質問から、子どもたちに「本当の幸せとは何か」という考えを導いている。
また、本格的な音楽活動は全米50箇所でのコンサートを開催するまでに拡大し、モスクワ、ラトビア、ベラルーシュ、ドイツ、スイス、リヒテンシュタイン、香港、タイ、シンガポール、マレーシア、及び台湾など世界各国でもコンサートを行っている。
休むことなく、全身で喜びと感謝を歌い、神からの愛を伝え続けるレーナさんのあらゆる可能性に挑戦していくチャレンジ精神はどこで養われたのか。
「(両親は)いつも『あなたは価値ある存在です。私たちはあなたをとても愛しています』と言って育ててくれました。そして、それ以上に神様が私を愛してくださっていることや、私には神様の特別な御計画がおありになるから、他の人と違う形に造られたということを、常に話してくれました」と、神様の愛と両親の愛を豊かに受けて育てられたことを語るレーナさん。
「愛があるから、何でもできる」。レーナ・マリヤさんの人生には、両腕の無い身体、不ぞろいの脚を与えてくださった神様からの、惜しみない特別な愛情と御計画があったのだった。
その愛と喜びを分かち合う日本公演はこの後、19日には大阪府柏原市にあるリビエールホール、21日にはチャーチ・オブ・クライスト・ニュージーランド日本大阪教会で行われる予定。