7月14日は、フランスの革命記念日だ。1789年のこの日、パリの民衆はバスティーユの牢獄を襲撃。フランス革命の始まりとなった。
1789年は、1776年7月4日のアメリカ独立宣言からわずか13年後のことだ。トマス・ジェファーソンを含め、その時代の多くの人々は、この2つは本質的に同じ種類の革命だと考えていた。しかしそれは誤りだ。
表面的に似た点は複数あるが、大きな思想的な違いがあることは、少し考えれば誰の目にも明らかだ。
比較的短期間の内に、フランス革命は血なまぐさい恐怖政治を移行し、その後はナポレオンの帝政で、近代の全体主義のお手本のようになってしまった。一方、アメリカ独立革命は、世界史上最も長く、維持された民主主義の国、アメリカ合衆国の誕生となった。
2つの革命の本質的、決定的違いは、その宣言文を読めば分かる。1776年7月4日のアメリカ独立宣言では、「われわれは、以下の事実を自明のことと信じる。すなわち、すべての人間は生まれながらにして平等で あり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられているということ」と、世界に対して宣言している。
一方、フランス革命の人権宣言は、「自由、平等、博愛」を謳っているが、これはあくまでも人間的な肯定にとどまり、アメリカ独立宣言が「創造主」と自然法に根拠を置いているのとは異なる。アメリカ人は、「われわれの意図が公正であることを、 世界の最高の審判者」に訴え、「神の摂理による保護を強く信じ」ることを確認した。
アメリカ独立革命とは違い、フランス革命は神からの独立を宣言した。実際、フランス革命は意識的にキリスト教以前のギリシア・ローマ文化的ルーツへと遡ろうとした。ナポレオンは自らを「国王」ではなく、ローマ帝国のように「皇帝」と宣言した。革命初期の支持者の中には、有名なフランス人女優に理性の女神のような装いをさせて、ノートルダム大聖堂の祭壇に立たせて、崇拝した人々もいた。
一方、アメリカ独立革命の基礎はユダヤ・キリスト教的ルーツであり、全体主義的な世俗国家の栄光のために人権を犠牲にすることなく、人権を認め、保護することができた。
ジョン・F・ケネディ大統領は、1961年1月20日の就任演説で次のように語っている。
「われわれの先達がそのために闘った同じ革命的な信念が、今も依然として世界中で争点となっている。それは、人間の権利は国家の寛大さからではなく、神の手からもたらされる、という信念である」
われわれの祖先がアメリカ人であって、フランス人でなかったことを神に感謝しよう。彼らが、自分たち自身ではなく、ただ唯一真実の神を崇拝したことを。
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リチャード・D・ランド(Richard D. Land)
1946年生まれ。米プロテスタント最大教派の南部バプテスト連盟(Southern Baptist Convention)の倫理および宗教の自由委員会(Ethics & Religious Liberty Commission)委員長を1988年から2013年まで務める。米連邦政府の諮問機関である米国際宗教自由委員会(USCIRF=United States Commission on International Religious Freedom)の委員に2001年、当時のジョージ・W・ブッシュ米大統領から任命され、以後約10年にわたって同委員を務めた。2007年には、客員教授を務めている南部バプテスト神学校がリチャード・ランド文化参加センター(Richard Land Center for Cultural Engagement)を設立。この他、全米放送のラジオ番組「Richard Land Live!」のホストとして2002年から2012年まで出演した。現在、米南部福音主義神学校(Southern Evangelical Seminary)校長、米クリスチャンポスト紙編集長。