日本キリスト伝道会(原登会長)主催「第39回日本伝道の幻を語る会」は先月29日、米田昭三郎氏(朝祷会会長)、杣浩二氏(日本CBMC理事長)、森下貴史氏(網走一麦伝道所牧師)の3氏の発題による討論会のほか、閉会礼拝を行い、3日間の日程を終え閉幕した。
討論会では、なぜクリスチャン人口1%の壁を打ち破ることができないかについて米田氏が、「キリスト者個人が、主の御前に真に悔い改めて祈っているだろうか」と強調し、日本のリバイバルには、教職、信徒を問わず、日本のクリスチャンが主の御前に心から悔い改め、心を合わせて神の憐れみと主の助けを求めて祈ることが不可欠だと語った。
米田氏は、日本の教会成長のカギは「家族への信仰継承」にあるとし、まずは日々の祈りと家庭礼拝を通して両親が子どもたちを霊的に導きながら、「祈りは必ず天に届けられる」「キリストしか救いはない」ことを子どもたちに確信させることが大切だと述べた。
また、信仰継承には「親の努力に加え、教会ぐるみの協力も必要」だと強調し、特に、子育てで忙しく慰めと助けが必要な母親や、学校の部活などで教会を離れやすい子どもたちに対する教会側の配慮が必要だと語った。
関西でビジネスマン伝道を推進する杣氏は、聖書を敬遠するノンクリスチャンに何とか聖書に興味を持ってもらおうと自身が考え出した伝道用資料を紹介した。
資料は、日本人が抵抗なく受け入れやすいテレビなどの情報をもとに、日本語とユダヤ人が使用するヘブライ語との類似性や、日本にある神社や祭りの中でキリスト教にルーツがあると思われるものを列挙しながら、聖書と日本人が決して無関係でないことをわかりやすく説明している。
杣氏によると、聖書に興味を示さないビジネスマンでも、テレビやラジオで放送された聖書に関する話ならば、高い確率で興味を示すという。日本国際ギデオン協会の活動の中でこの資料を使用したところ、学校側からの対応が大きく変わるなど、目に見える効果が実際に出てきている。
杣氏は、「人を見ながらやっている信仰ではなく、神を見上げる信仰が大事」「1千万救霊は必ず実現する」と強調し、「死に物狂いの信仰」で伝道したいとの意欲を示した。
森下氏は、神学校時代からの路傍伝道の働きや、3年半前から網走の伝道所で始めた開拓伝道の働きが、すべて神から幻をいただき、聖霊によって導かれた歩みであったことを証しした。同氏がゼロから始めた北海道の網走一麦伝道所には、現在12人の地元住民がともに礼拝をささげている。また、伝道活動の一環として同氏が関心を寄せる、部落解放などの社会問題についての取り組みも紹介した。
3氏による講演の後、参加者側からも意見が出た。参加したある信徒からは、「教会に行っていると、逆に元気がなくなるのではないか」との牧会に対する鋭い指摘も。また、活気ある教会形成のために、御言葉を取り次ぐ牧師の信徒へのよりよい配慮や、音楽伝道集会などの特別集会を開催するなどして、教会に新しい霊的な風を送り込むことが必要との意見が会場から出された。
同大会会長の原登氏は閉会礼拝で、「日本の教会が受身の姿勢を持っている」と日本の教会の成長が停滞する理由を指摘し、「受けるよりも与えるほうが幸いである」(使徒20:35)との聖書の御言葉に学び、「積極的に御用を全うさせていただきたい」と述べた。
原氏は、「使徒の働きには締めくくりの言葉がない。それと同じように、日本キリスト伝道会にも終わりの言葉はありません」「使徒が『教え続けた』とあるように、私たちも『伝道し続けていく』はずである」と強調し、参加した教職、信徒らの信仰を引き上げた。
この日、会場では日本キリスト伝道会の働きに長年携わり、天に召された松田幾雄氏(前実行委員長)と谷中さかえ氏の紹介があり、両氏を通して現された神のよき御働きのゆえに、会衆一同が神の栄光を称えた。