日本国内に現存する最古のキリスト教会建築物として知られる国宝・大浦天主堂(長崎市南山手町)の設計図が、このほどフランスのパリ外国宣教会で発見されたことが読売新聞の報道で分かった。29日に福岡市で行われる日本建築学会(会長・斎藤公男)で発表される予定。CJC通信が23日、伝えた。
設計図は1864年(元治元年)の建築当時のもので、長崎総合科学大学の林一馬学長(建築学)が発見した。同大によれば、林学長らが同宣教会の古文書局でファイルを調査している際に、宣教会から日本に派遣され、大浦天主堂を担当していたベルナール・プチジャン神父の手紙の中から、二つ折りにされた平面図と側面図が発見された。
林学長は、「長崎県の教会群を世界遺産にする会」の会長を務めるなど、大浦天主堂を含む長崎の教会群に早くから注目し、その保全や世界遺産登録のために活動を進めてきた。
大浦天主堂は江戸末期の1864年、フランス人司祭ベルナール・プティジャンと横浜のルイ・テオドル・フューレ神父が基本設計を行い、建築された。当初は、外見は三本の塔を持つゴシック風、正面中央の壁面はバロック風、外壁はマナコ壁と特殊なスタイルであったが、1879年に増築され完全にゴシック風の建物となった。1933年(昭和8年)、文部省により国宝に指定され、1953年(昭和28年)に文化財保護委員会によって再指定されている。国宝に指定された唯一の洋風建築。