…そのうち、もう時刻もおそくなったので、弟子たちはイエスのところに来て言った。「…もう時刻もおそくなりました。みんなを解散させてください。…」すると、彼らに答えて言われた。「あなたがたで、あの人たちに何か食べる物を上げなさい。」…するとイエスは彼らに言われた。「パンはどれぐらいありますか。行って見て来なさい。」彼らは確かめて言った。「五つです。それと魚が二匹です。」…弟子たちに与えられた。また、二匹の魚もみなに分けられた。人々はみな、食べて満腹した。…パンを食べたのは、男が五千人であった。(マルコの福音書6章34節~44節)
まだ朝晩は真冬並の寒さですが、暦の上では既に立春です。春を先取りし、喜び溢れる恵みを頂いてまいりましょう。今年のテーマ、「seed faith」(祝福への信仰の種を蒔く)をこの一年のあなたの歩みの中で実践していきましょう。種を蒔いても時間のかかるものもありますが、あっという間に育つ種もあります。今から種を蒔けば春先には刈り取ることのできる実もあります。信じて前進してまいりましょう。
聖書の言葉の一つ一つが神の言葉です。神の言葉ということは、そのオリジナルの話を超越して、今度は読み手である私たちに神の御業を体験させる力を持つのです。今日の聖書箇所からも、神の御声を聴く心の姿勢を持ちながら、この御言葉を学んでまいりましょう。
この物語は5つのパンと2匹の魚として有名な物語です。四福音書全てに記されていることからも、これはイエスの御業を書き記す時に絶対忘れてはならない出来事だったことがわかります。
1.予想を超えるビジョンを与えられる
人間の体験や思いだけで夢や希望を語ろうとすると、どうしても小さくなりがちですが、神が与えてくださる使命、ビジョンは、私たちが思いもよらないほどすさまじく大きな事柄なのです。普通の人でも夢やビジョンを意識するだけで成長します。まして、神との結びつきの中で素晴らしい夢やビジョンを神から与えられることはなんと幸いなことでしょう。
弟子たちにはお金も何もないことをイエスはご存知でした。その弟子たちに「あなたがたで…」(6章37節)と言われました。あなたが蒔くべき信仰の種を求めて祈る時に、神はあなたの心の中にビックリするようなビジョンを語られているのではないですか。聖霊によって神様の御心が伝えられます。それを受け止め損わないようにしましょう。
2.目の前の小さなことをする
5つのパンと2匹の魚、この数字を見た時、ほのぼのとしてしまいます。学校に行ったこともない弟子の両手でも数えられるようなもので、イエスはどでかいことをされます。身近なところにある、取るに足りないものをイエスが用いられたことに感謝したいのです。それは、種だから小さくて構わないのです。自分のなす小さなことを恥ずかしがらずにイエスの御前にしようではありませんか。それがあなたにとっての種になります。
3.神の恵みの豊かさに期待する
「人々はみな、食べて満腹した」(6章42節)。僅かなパンと魚が、女性や子どもを入れると1万人もの空腹を満たして神の栄光を現すものとなりました。私たちの蒔く種も小さなもの、身近なものかもしれませんが、それが必ず祝福されることを期待したいと思います。神が共におられるなら、小さな小さなことが五千人、一万人の幸せに用いられる、とてつもない大きなものになるという恵みに感謝しましょう。
私たちは特別な人間ではありません。でも、主が語られる夢やビジョンを真剣に受け止め、逃げないで自分でできる種を精一杯蒔いて、神のとてつもない恵みを期待してまいりましょう。
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万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。