【CJC=東京】聴覚障害があり、話すことができない信者でもノートパソコンを使えば告解できるのでは、と「聖ダミアンの告解室」を米アリゾナ州フェニックス在住のロムアルド・ザントゥア司祭が考案した。
同司祭はフィリピンで「希望の使徒」共同体を開設するなど活躍し、現在は引退して米アリゾナ州フェニックス在住。
「聖ダミアンの告解室」の目的は、聴罪司祭とのコミュニケーションを円滑にすること。米国では手話でコミュニケーションしようとしている人が約50万人と推定されている。一方で「手話の訓練を受けていない司祭がほとんど」と言う。
特別なソフトウエアを組み込んだパソコン2台を特定の告解室の机に置いて、告解者と司祭が相互に文章を打ち込むと、双方の画面に映し出される。告解が終わると、それまでの文章は全部消去される仕組み。
「聴覚障害者のための全国カトリック事務所」(NCOD)と「身体障害者に関する全国カトリック・パートナーシップ」(NCPD)がシステム改善に協力した。
教会法では、聴覚障害者が手書きの文字でやり取りするか、認定された通訳を通じることは認められているが、とにかく告解は人と人との間で直接行われることを前提としている。
米国では、文章を手書きすることはほとんど行われていない。「書く」より「打つ」社会なのだ。通訳もいつどこでも待機しているわけではない。手話のできる司祭は今後も求められるだろうが、その司祭もいないときの代替手段になるのが、このシステムの目指すところ。聖座(バチカン)の承認を早く得たいと同司祭たちは願っている。
「聖ダミアンの告解室」と名付けられた由来の聖ダミアンは、ハワイ・モロカイ島に隔離されたハンセン氏病患者への宣教にあたり、自身も発病した。モロカイ島からの移動を禁止され、告解ができない困難にも苦しめられた。