米国務省が先月12日に発表した2007年の人身売買報告書で、日本は「人身売買撲滅のための最低基準を十分に満たしていないが、満たすべく著しい努力をしている」との評価を受け、4段階中上から2番目にランクされた。03年の同報告書では日本は「最低限の基準を満たしていない」という理由で、「監視対象国」に指定されていた。
同報告書は、米国務省人身売買監視対策室が毎年発行するもので、世界各地の人身売買の状況を伝え、各国の対策を評価する。07年の同報告書で、日本は「商業的な性的搾取のために売買される男女や子供の目的国であり、これより頻度は少ないが通過国にもなっている」とされている。しかし、04年に設置された「人身取引に関する関係省庁連絡会議」で「人身取引対策行動計画」が策定され、それに基づき行われている人身売買対策の改革において「穏やかな進展を見せた」とされ、今回の評価に至った。
07年の同報告書で最上位にランクされているのはほとんどが欧州諸国で、アジアでは韓国、香港が選ばれている。日本がランクされた上から2番目のランクには、アジアの国としてはシンガポール、タイ、インドネシア、ラオス、ベトナム、フィリピンなどが選ばれた。中国は上から3番目のランク。最下位にランクされたのは、サウジアラビア、クウェート、スーダン、アルジェリアなど中東・アフリカ諸国が中心で、アジアでは北朝鮮、ミャンマー、マレーシアなどが指定された。
同報告書で日本はある一定の評価を受けたが、一方、外国人研修生制度を利用した移住労働者の強制労働、日本人男性の東南アジアにおける児童買春ツアーへの関与、05年に創設された人身売買罪を適用した起訴・有罪判決件数が06年に大幅に増加しているのにも関わらず、06年の政府認定の被害者数が05年に比べて半減している点など、多数の課題を指摘された。
政府認定の被害者数が半減していることの一因として、人身売買業者の手口の巧妙化を挙げ、日本政府に対して「より積極的な法執行活動を指揮して、商業的な性的搾取を行っている疑いがある場所を捜査すべきである」としている。また、人身売買に関する捜査に一層の努力を払うべきとし、被害者へのカウンセリングの提供、NGOとの協力などを求めた。